出版社内容情報
ことばに込められた人生の智慧を発見できる。
昭和から平成まで、日本人が残した「ことばの財産」から何を学ぶべきか。毎日に活かす名言の読みどころを、書物に通じた著者が解説。
「世の中には名言事典という標題を掲げた名句の集録が数えきれないほど編集出版されている。ところが、その内容はと見れば、ほとんどと言ってよいほど重複しているではないか。その理由を察するに、だいたいのところ、有名人の詞句に限られているので、否応なく、同じ文章が羅列されるようになったらしい。それはそれで結構ながら、あまりによく知られている名句は、もはや常識に属するから、閲読しても感銘が薄いであろう」(本書「まえがき」より)。本書はこれまで光の当たらなかった、あるいは言葉の持つ価値の大きさに誰も気がつかなかった名言・名句を丹念に拾い集め、「なぜそれが名句なのか」という評価も含めて解説している点で、既存の類書とは一線を画する。本書に出てくる名言・名句はいずれも、厳しく悩ましい人生を十全に生きるヒント、混迷する社会や歴史の深みを見通す視座を与えてくれる。新鮮な言葉の一つひとつを、ぜひ堪能していただきたい。
●まえがき
●第一章 「世間」を生きる智慧
●第二章 「社会」を見通す視点
●第三章 心を動かす「活字」の力
●第四章 「戦後」を超える発想
内容説明
壁を感じたとき何かに頼りたくなったとき―心に響く珠玉のことばを厳選し、解説。
目次
第1章 「世間」を生きる智慧(上等な劣等感;幸と不幸;嫌な奴;台詞;悪口;男と女;友人;人情;遊女;文化人;女の目;信用;引き際;嫉妬;処女;タテマエ;夫婦;智者;気魄;野心;心遣い;野暮)
第2章 「社会」を見通す視点(無法者;企業家;骨抜き;演技;標語;官僚;計画経済;エリート;理論と実践;観念;理性;暮向;権力;口舌の徒;資本論;アメリカ経済;権限;洗脳;食通;裁判官;正義;新旧;真実;文化;世界宗教;技術)
第3章 心を動かす「活字」の力(本の効用;奇策;成熟;教養;ことば;近代文学;主義;憂国;文芸評論;探偵小説;名声;文芸史;情緒;批評眼;無精者;詩論;索引;殺し文句;人間学;仮名草子;毀誉褒貶;読者史;短文;誤謬)
第4章 「戦後」を超える発想(権力欲;戦後政治;言論人;近代化;白いめし;士魂商才;封建時代;秀才;独裁;歴史意識;宣伝辞句;史と古典;反日;外交下手;歴史の宿命;支配;偏向;論争)
著者等紹介
谷沢永一[タニザワエイイチ]
昭和4年大阪市生まれ。関西大学名誉教授。関西大学国文学科大学院博士課程修了。在学中に開高健、向井敏らとともに同人誌「えんぴつ」を創刊。関西大学文学部教授を務めた後、平成3年退職。専攻の日本近代文学、書誌学の分野はもとより、該博な知職に裏打ちされた社会評論には定評がある。『完本紙つぶて』でのサントリー学藝賞をはじめ、大阪市民表彰文化功労賞、大阪府文化賞、読売文学賞、毎日書評賞など各賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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