出版社内容情報
ある東北の村から日本橋の酒問屋に招かれた、不思議な目を持った少女・イオ。酒問屋の跡取り息子・央介は、その目を見たことで激しい良心の呵責に襲われ、かつて自分が犯した罪を贖おうとする。やがて更生した央介とイオは、彼女の目を使って、江戸で起こる数々の事件を解決していくことになるが……。青年と少女の交流と成長を通して、「罪と向き合う」ことの意味を描いた、感動のファンタジー時代小説。
西條 奈加[サイジョウ ナカ]
著・文・その他
内容説明
ある東北の村から日本橋の酒問屋に招かれた、不思議な目を持った少女・イオ。酒問屋の跡取り息子・央介は、その目を見たことで激しい良心の呵責に襲われ、かつて自分が犯した罪を贖おうとする。やがて更生した央介とイオは、彼女の目を使って、江戸で起こる数々の事件を解決していくことになるが…。青年と少女の交流と成長を通して、「罪と向き合う」ことの意味を描いた、感動のファンタジー時代小説。
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
1964年北海道生まれ。2005年、『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年、『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞を受賞。15年、『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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sin
88
悪所通いは若気の至りとしても憂さ晴らしとは言え押し込みは犯罪…その罪をかろうじて救ったのは奥州から招かれた睦月童。改心した若者と不思議な童子が江戸の庶民と織り成す人情モノかと思いきや、睦月童を知る侍と出会ったことで物語は睦月の里の成り立ちに至る伝奇物語へと様変わりして、侍の過去が睦月神に立ち向かうとき里の民が信仰する睦月神は若者の前に思いも寄らぬ姿を現す。2022/02/01
真理そら
73
再読。アンソロジー『ふしぎ』に第一話が採用されていたので読み返してみた。やっぱり気持ちいい物語だ。女のいつまでも若く美しくありたいと願う気持ちを冷たく切り捨てたりしない結末もいい。初読の際「おねま」の続きが読みたいと思ったのを思い出した。2021/09/11
Koji Eguchi
66
久々奈加は若く美しい女を求める男の欲を痛烈に批判し、いつまでも若く美しい女でいたい女の性を哀しく描いたファンタジー。★★☆。百年以上若く美しい容貌を持ち、罪を後悔する人の良心を映し出したり、未来が見えるなどの不思議な力を持つ睦月の里の女は、子供を産むと死ぬ悲しい運命。果たして彼女らは幸せなのか。そしてこの運命から彼女らを解放しようと考えたナギは正しかったのか。難しいが、そもそも若く美しくありたい女性の希望は男に求められるためだけでなく、これに努力することは決して哀しいものではない気がするところに違和感。2025/03/03
はつばあば
64
今年最後の本にこれをもってきました(#^^#)。央介はええとこのボンボンでちょい悪。睦月童イオと出会い自分の行いに詫びを入れ・・、兄と妹のような雰囲気で江戸を堪能すイオ。睦月神様とは如何なる神様か、なんだかアマゾネスを彷彿させるような展開かと思えば、八百比丘尼やかぐや姫が登場しファンタジー性満開。地下に住まう睦月童をエサにする睦月神・・。そんな失礼な事を言っちゃならないが・・人をエサにする神も、国民をエサにする政治家も皆上から目線なのよねぇ。まだ今年は終わらない。後1~2冊選んで最後の〆にしようかな2021/12/31
一華
43
時代ファンタジー…前半は央介とイオとのやりとりが微笑ましく、温かいお話かと思いきや…睦月の里に関わる秘密が明らかになるにつれ、畏れるほどに悲しい物語になっていく…里長のカエデさまの「等しくとは笑止な。男の造りし世で、大手をふっているからこそ言えること…… 」ずしりと重く響く…イオが睦月の民らの想いに寄り添い、普通に人として美しく成長し、央介や沖助とともに幸せに暮らせることを願う。2019/01/24