出版社内容情報
拾楽とは昔馴染みの女盗賊が、ある日突然、鯖猫長屋に姿を現す。思わせぶりな女の一言、サバの不穏な動きに心がざわつく拾楽は……。
田牧 大和[タマキ ヤマト]
著・文・その他
内容説明
長屋で一番偉い猫サバと飼い主の拾楽が暮らす「鯖猫長屋」に、「二キのご隠居」がやって来る。皆に一目置かれる臨時廻同心で、昔馴染みの女盗賊と決着をつけるため、拾楽に協力を依頼してきたのだが、その女盗賊は拾楽とも因縁があり…。やがて長屋の家主・お智の饅頭屋で事件が起きる。拾楽、定廻同心・掛井、サバがそれぞれ動き出す。謎解き&人情で大好評の人気シリーズ第五弾。
著者等紹介
田牧大和[タマキヤマト]
東京都生まれ。2007年、「色には出でじ、風に牽牛」(刊行時に『花合せ』に改題)で小説現代長編新人賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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SJW
128
賢いサバと飼い主の拾楽が暮らす「鯖猫長屋」にまた事件が起きる。拾楽は、臨時廻りの同心をしている深川のご隠居と、昔からの知り合いの女盗賊から頼みごとをされ板挟みになる。相変わらずのサバと拾楽のやり取り、掛井と拾楽のやり取りが笑えて、長屋の住人とのやり取りも微笑ましい。最後の顛末は呆気なかったが、探していた犬は浅草の対岸の寺島村で見つかり、自分が生まれ幼稚園までいた場所が出てきたことにビックリでした。2019/09/12
初美マリン
111
やはりサバとさくら可愛い!今回は、盗賊との知恵比べ裏の裏の騙しあい、ご隠居もそこに至るまでの努力が描かれて納得でした。2018/10/27
ぶち
105
[にゃんこまつり2020:居残り] 今回も脇役として犬が登場します。"まる"という名前の白い犬です。人懐くっこく、人を嫌ったり恨むことがまったくない、素直な可愛い犬ですが、今までの犬と少し異なり、特別な能力は無いようです。その分、サバの妖の力がはっきりと前面に出てくるようになりました。今回はなんと桜の木とお話までしてしまうのです。それにしても、女盗賊の惨いことといったら、反吐がでそうなほどです。まぁ、この盗賊も最後は、捨楽、掛井、ニキの隠居、サバのそれぞれの活躍によって観念したのは良しといたしましょう。2020/02/22
タイ子
88
大将猫サバのシリーズ第5弾。何だかねぇ、今回は捨楽の過去から因縁のある女盗賊が登場して事件を起こすものだから、猫の手も借りたいのよ。ってことでサバもさくらもじっとしてられない。ま、サバは子分(捨楽、掛井の旦那)をいつものごとく上から目線でうま~く使ってるんだけどね。猫と枝垂桜の会話が物語の肝になっててこれが和を感じるんですよ。私、掛井の旦那が好きになりました(何や、急に)。サバに言わせれば「勝手にほざいてろ」てか。でも、でも、何だか不穏な空気で終わっちゃいましたよ~。続きを早く!2018/09/28
ぶんこ
57
拾楽の盗っ人時代の知り合い「あざみ」が登場し、ニキのご隠居のお世話をする太市を誘拐する手助けをしろと、お智を人質に脅迫する。枝垂れ桜がサバに語った話を、ニキのご隠居や拾楽に話せたらなとヤキモキ。束の間でも自分の子のような愛おしさを感じたこともあったようなのが切ない。捕まったはいいが、結構早くに逃げ出しそうな予感。そんな心配があるだけに、サバに話ができたらと思ってしまいます。「声と話術で人の心を絡めとる」と聞くと、時効間近に捕まった殺人犯Fを思い出しました。いつまでも聞いていたいような声の持ち主といえばF。2019/02/11