出版社内容情報
妻として大正天皇を支え、母として昭和天皇を見守り続けた貞明皇后。その感動の生涯と家族との絆を描いた著者渾身の長編小説。
植松 三十里[ウエマツ ミドリ]
著・文・その他
内容説明
幼少の頃に農家へ預けられ、「九条の黒姫さま」と呼ばれるほど活発な少女として育った節子。その利発さと健やかさを評価され、皇太子妃として選ばれたことから、明治、大正、昭和をつらぬく節子の激動の人生が始まった。病に臥せることの多かった大正天皇を妻として支え、母として昭和天皇を見守り続けた貞明皇后が、命をかけて守りたかったものとは。大正天皇と皇后の知られざる実像に迫った傑作長編。
著者等紹介
植松三十里[ウエマツミドリ]
静岡市出身。東京女子大学史学科卒業。出版社勤務、7年間の在米生活、建築都市デザイン事務所勤務などを経て、作家に。2003年に『桑港にて』で歴史文学賞、09年に『群青 日本海軍の礎を築いた男』で新田次郎文学賞、『彫残二人』(文庫化時に『命の版木』と改題)で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ばう
49
★★★ 僅か15 年しか無かった大正時代。あまり評価されていない大正天皇だが、この本を読む限り、言われているほど暗愚な方では無く、それどころか教養もあり魅力的な方である様だ。幼少期には『九条の黒姫様』と呼ばれるほど元気いっぱいだった貞明皇后も自身の考えを持った大変しっかりした方のようですね。小説としては大変面白かったです。少し前に読んだ昭憲皇后付きの女官の手記では大正天皇が大変な書かれようだった事を思い出して、相対する立場から見たそれぞれの話、それぞれに興味深く読めました。2019/11/20
Sakura
21
大正の時代についてはあまり知識がなかったが、本作で理解がとても深まった気がする。貞明皇后・節子を中心に、明治から大正への流れ、当時の天皇家、軍の意向に押し切られてしまう当時の風潮などがとてもわかりやすく描かれていた。天皇(当時は東宮)の旅行の同伴も認められない。子供を産んでも産んでも手元で育てられず、連れ去られてしまう。天皇・皇后であるのに戦争を止められない。思い通りにいかないことばかりでも懸命に生きられた様子がうかがえる。とても面白かった。2022/07/26
誰かのプリン
19
大正時代は短く只、大正天皇は身体が弱かったとしかイメージがなかった。しかしこの本を読んでいくうちに、大正天皇、お后様のお人柄が分かり興味を持ちました。★★★★★2019/04/08
真朝
18
小説ですが、大正天皇と貞明皇后の事を少しだけ知る事が出来た気がします。 私は大正天皇に対して全く関心がなく身体が弱かった事を子供の頃に祖母に教えて貰った事を覚えています。貞明皇后の事は話にも上りませんでした。 フィクションですが明治から昭和までを生き抜いた貞明皇后にとても興味が出ました。 一般人の私には考えられない程の生活だったことだけは分かりました。それでも神様じゃなく、私達と同じように笑ったり悲しんだりする人間なんだとまた思いました。2021/02/27
MIHOLO
14
明治と昭和の間。短い大正。興味深い時代なのに、知識が全くなかったのでは?と愕然としながら、逆にスポンジのように吸収出来た。終戦記念日によく流れる玉音放送も、母親として聴き、その戦前戦後の裏側も脚色も多少あるだろうけど、とてもよくわかった。歴史や政治は難しいと敬遠してきたけど、こういう本を読みながらだと勉強しやすいかも。とても良かった!2021/02/26