出版社内容情報
体重別階級のない時代、小柄な体格にもかかわらず、幻の技・空気投を編み出して圧倒的な強さを誇った柔道家・三船久蔵を描く長編小説。
嶋津義忠[シマヅヨシタダ]
作家
内容説明
岩手県久慈に生まれ、悪ガキとして育った三船久蔵は、仙台二中に進学し、柔道と出合った。小柄ながらも地元で敵なしの久蔵は、上京後、講道館に入門し稽古に励み、異例の速さで昇段、数多の強敵を倒していく。不断の鍛錬の末に辿り着いた「押さば回れ、引かば斜めに」の境地は、幾多の新技を創出し、やがて究極の神業「空気投」を生み出す。不世出の柔道家の生涯を描いた長編小説。
著者等紹介
嶋津義忠[シマズヨシタダ]
1936年、大阪生まれ。59年、京都大学文学部卒業。産経新聞入社。化学会社代表取締役社長を経て、作家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヤギ郎
10
「理論の嘉納、実践の三船」といわれるように、三船久蔵は誰よりも稽古に取り組み、技を極めた。柔道には前後・左右・斜めの八方崩しがある。三船はこれに回転を加えることで、空気投げへの道を開いた。柔道の修行をしている者ならどこかで「柔道の神様:三船久蔵」の名前を聞いたことがあるだろう。本書は、その三船の生誕から死没までをたんたんと描いている。嘉納治五郎の弟子として、三船は柔道に取り組んだ。嘉納は柔道の発展と国際化に取り組み、三船は1964年の東京オリンピックを観覧することで、柔道の完成を目にすることになった。2022/08/06
円盤人
3
柔道の名人・三船久蔵の伝記である。世代が近いせいもあろう、特定の事件に焦点を当てたり、人物の行動に大胆な解釈を施すなどの歴史小説的な構成はなく、誕生から死までが淡々と進み、終わる。柔道に出会うまでは村で暴れているだけだし、出会ってからは柔道のことしか考えてないので、起伏に富んだ面白みはない。情景描写もほとんどなく、時代との関係も特に掘り下げられないので、人物が胸から上しか描かれない漫画を読んでいるような印象がある。ただそのぶんわかりやすく、三船の人生を率直に学べる。読み応えはない。そんなところだろうか。2020/09/03
Koji
3
淡々とした描写。2016/09/14