出版社内容情報
織田信長から惚れこまれ、豊臣秀吉からは文武に秀でた器量を畏れられた蒲生氏郷。その波乱に満ちた生涯を、骨太な筆致で描いた力作。
【著者紹介】
作家
内容説明
織田信長に見出されて娘婿となり、その薫陶を受けて成長した蒲生氏郷。世界とわたり合うために天下統一を急ぐ信長の下、活躍を続ける氏郷だったが、長島一向一揆での惨劇を目にして心が大きく揺らぎ始めた。そして本能寺の変が…。茶人やキリシタンとしても知られる氏郷には、その器量を畏れた秀吉が毒を盛ったとの説も。死の謎に迫るとともに、グローバルな視点から蒲生氏郷の人生を骨太の筆致で描く長編小説。
著者等紹介
安部龍太郎[アベリュウタロウ]
1955年、福岡県生まれ。90年に、『血の日本史』でデビュー。2005年、『天馬、翔ける』で中山義秀文学賞を、13年、『等伯』で直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あも
88
蒲生氏郷。信長に降伏した滋賀の小大名の子は、魔王信長に気に入られ、娘婿となり、誠実な人柄と勇猛な戦いぶりで秀吉時代には会津宰相と呼ばれ、梟雄・伊達政宗の抑え役となるも病死する。という地味だけどかなり好きな部類の武将である氏郷の話。ただ展開はどうしても地味…。特に、キリシタン大名としての氏郷の心理面に筆を割いているため、予算不足の大河ドラマみたいに合戦シーンは飛ばされがち。敵役の秀吉と政宗はとにかく悪~い奴に描かれるが、描写は凄く丁寧で脇役から見た戦国時代を追体験できるかも。氏郷の人柄への敬慕の念が高まる。2019/04/08
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
84
戦国武将、蒲生氏郷の生涯を描いた物語。氏郷にスポットを当てた作品はあまりなくて読むのは初めてだったけど、秀吉の欲望を求めて突き進む姿とは対照的なキリシタン大名らしい信念の人という印象。器量人でありながら自身は天下は狙わず、信長、秀吉に仕えた40年という短い生涯。己の欲を超えた行動ができる人だけに道半ばの人生が悔やまれてならない。巻末の解説は、葉室燐。また一人、気になる戦国武将と出会うことができました♪2018/01/13
いちねんせい
37
「滋賀は歴史の裏舞台やった」と伯父さんは言うが、こんなにたくさんのことが起こっていたのかと今さらながら知る。蒲生氏郷のことは小さいころから聞いて育ったが、和歌や茶の道に秀でた武将というぐらいしか知らなかった。会津若松の若松が綿向神社から来ていたなんて。信念をつらぬく生き方がとてもかっこよく、この人がもっと長く生きていたら日本はどうなっただろうかと考えてしまう。天下をとることは考えたことがなかったのではないだろうか。読みながらその地味さというかなんというかあぁ滋賀の人なのだなぁと妙に懐かしくなってしまった。2018/11/22
kawa
32
自分の中ではマイナーな存在の戦国武将・蒲生氏郷が主人公の歴史小説。前半部の展開はやや切れが足りない印象ながら、全体としては面白く読了。内室が信長の娘・冬姫、秀吉の義理の兄と言う人間関係。近江日野、伊勢松坂、会津若松つぎつぎと変わる領地。キリシタン大名としての交友や行動等読みどころ多数。伊達政宗との軋轢も興味深い読みどころなのだが、この辺りは地形図があるとさらに解りやすかったかもですね。秀吉の朝鮮出兵にイスパニアの意向も絡んでいたと言う解釈は面白い。2025/10/12
shiozy
30
蒲生氏郷のお話である。戦国時代の武将であるが、これまで注目されたことがない武将でもある。信長の娘冬姫を妻に貰い、松坂藩12万石から会津藩・米沢藩を統治した。なんとその石高74万石。徳川家、毛利家に次ぐ大大名なのである。伊達政宗との一騎打ちや講和の際に政宗に毒を盛られるという逸話は、本書の見所であろう。視野の広いキリシタン大名である。もっと注目されてしかるべき人物かも知れない。2015/12/05




