出版社内容情報
夫を何者かに殺された藍染屋の女将は、同じ事情を抱える女たちと出会い、仇討に挑む。女四人の活躍と心情を気鋭が描く痛快時代小説。
【著者紹介】
作家
内容説明
紺屋の女将・紫屋環は、三ケ月前に亭主が殺された事件の真相を知るべく、大店の東雲屋を探っていた。環は、同じく東雲屋ゆかりの者に恨みを持つ女たちと出会い、四人で協力して東雲屋に挑むことに。しかし、それぞれの愛憎や思惑、環に惚れる同心、藍の産地である阿波藩のお家騒動なども絡み、事件は意外な様相を呈していく…。二転三転する展開と謎。気鋭が描く、痛快さと人情味に溢れた長編時代小説。
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
1964年北海道生まれ。2005年、『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。12年、『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
106
物語が二転三転する展開と謎が絡むので、意外な方に進んでいくのにハラハラしました。4人の女性たちが恨みを晴らす愛憎劇とでもいうべきでしょうか。それぞれが抱える思いがあり、協力して敵討ちに挑む。色々な話が散らされながらも最後に繋がるのは見事ですね。時代こそ江戸なれど、暴力を見ているような気分にもなりました。それでも根っからの悪人がいないのが救いなのかもしれません。2017/03/05
ふじさん
80
藍染屋の女将の環は、年齢や境遇も違い、性格も相いれないアクの強い、女剣士の伊織、遊女のお唄、洗濯婆のおくめと出会い、亭主が殺された真相を暴くために動き出す。それぞれの愛憎や思惑、葛藤、恋模様、藍の産地の贈収賄やお家騒動が絡み、事件は意外な様相を呈し、二転三転する展開で謎が深まる。四人の女の過去が明らかになるにつれ真実が少しずつ見えてくる。ミステリーさながらの展開で、読み応えがある。仇討ちで繋がる4人の女の復讐劇でありながら、四色の愛の物語。エンターテイメント時代小説の要素満載の作品、とにかく面白かった。2025/03/04
はつばあば
59
4人の仇討とはちょっと違う感じですが・・やっぱり仇討ちかなぁ。この本、奈加さんの本の中では私は上位につけたいかと。女が強いのは大好きですもの(#^^#)。藍染め屋の亭主が殺された。女将さんは絶対あの東雲屋の亭主が犯人だと。顔が悪い男は皆悪者なんでしょうかね(笑)。藍染に関わる国では悪い奴らが暗躍する。それも人生の半分先のことを見越して地道に根を張る用意の周到さ。いやいや云い過ぎか。いざとなったら男には無いだろう女の肝っ玉の深さ(失礼しました)。おあとがよけりゃ全て良しと(#^^#)2022/01/03
shincha
57
久しぶりの西城奈加さん。藍色の藍を出す為の藍玉。藍玉を作る工程。そんな藍染めの世界が舞台。職人気質の亭主を陰謀により殺されたおかみと敵を探す若侍、仇の用心棒に恨みを持つ茶店の女、やたら力の強い老女。この4人が織りなす怨恨と人情と偽りと真実とをごちゃまぜにした時代小説エンターテイメント作品。途中で、読者にヒントを与え、その答え通りの展開に持って行って、更なる展開が…最終章は、人の心の変遷と葛藤と優しさがあふれ出て、オッサンが落涙。あ~西條奈加さんの作品を堪能しました。2022/06/08
のびすけ
43
殺された亭主の仇を討つべく、藍染屋の女将・環が事件の真相を探るミステリー仕立て。環は、若侍の伊織、遊女のお唄、洗濯婆のおくめの訳あり三人とともに、犯人と目する東雲屋を探る。伊織・お唄・おくめのそれぞれの物語が事件に絡み合い、意外な真相が暴かれる!事件の決着により訪れる四人の愛の結末‥。辛い過去に負けず、みな幸せになってほしいと願う。読み応えで充分で面白かった。2021/02/09