出版社内容情報
「戦争」「革命」「世界秩序」とは何か?――国際政治のリアリズムから日本の国家像と戦略を説いた、人気の“京大講義録”を書籍化!
【著者紹介】
京都大学名誉教授
内容説明
戦争と平和、そして世界秩序とは何か?―国際政治の矛盾とジレンマに満ちた実態を「歴史的アプローチ」から受講者に体感させた“人気の京大講義録”が待望の文庫化。「『列強』という言葉は不正確」「アングロサクソン由来の学問を直輸入できるか」「『国家』が再び重要となる時代へ」など、日本人の歴史的な経験や価値観を踏まえた国家戦略を指し示すことで“世界の見方”がクリアになる一冊。
目次
第1講 戦争の仕組み
第2講 地上のどこにもない場所
第3講 幻滅の二十世紀
第4講 アングロサクソンとは何か
第5講 「一超多強」の世界
第6講 日本文明が生き残るために
著者等紹介
中西輝政[ナカニシテルマサ]
1947年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。英国ケンブリッジ大学歴史学部大学院修了。京都大学助手、三重大学助教授、スタンフォード大学客員研究員、静岡県立大学教授を経て、京都大学大学院教授。2012年、退官して京都大学名誉教授。専攻は国際政治学、国際関係史、文明史。1997年、『大英帝国衰亡史』(PHP研究所)で毎日出版文化賞・山本七平賞を受賞。2002年、正論大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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5 よういち
90
国際政治学がどういうもので、どう活かせるのかを学ぼうと思ったが、著者の政治的思想によって捉え方が大きく変わってくるものだ。今回は保守系としての立場でのもの言いであることを念頭において読んだ。あまり普段首を突っ込まない世界なのでとても興味深く読めたのは間違いない◆国際政治学は欧米等先進国で始まった学問で第一次世界大戦がきっかけ◆国家が国民を騙す『大本営発表』◆大戦後、戦勝国はドイツに賠償を求めるが、こんなもの払いたくないとする国民がトヒラー政権を誕生させた。◆常任国の拒否権がない『国際連盟』は紛争を起こす。2019/02/08
奏市
13
国際政治について歴史を材料に解説した京大の講義を書籍化したもの。系統だった内容よりも興味を湧く話題に沿って進められたとの事。第四講『アングロサクソンとは何か』が面白かった。ギリシャ文明、ローマ帝国の継承者と自負するフランスからしたらアングロサクソン的とは非難めいた言葉で、矛盾、曖昧、理想とは遠い経験・実際主義を意味すると。日本と諸外国につきペリー来航の時期からの文明間の戦争だったという見方は、ロナルド・キーンさんの本やハンチントンの『文明の衝突』(今回の本で言及有り)で書かれていて頭に入ってきやすかった。2021/05/08
TS10
11
著者が国際政治学への入門として京都大学で行った「現代国際政治」の講義録。平易な文体で読み易い。国際政治学がアングロ・サクソン的な思想から生まれた学問であることを強調しつつ、歴史を題材にその来歴を縦横に語っている。近現代における英米の覇権という切り口が見せる見取り図には魅力を感じるが、「文明」の存在とそれらの差異を強調する史観には違和感を感じないでもない。2024/02/29
タイガー@津軽衆
7
通算25冊目、4月5冊目読了。2008年代の国際政治について保守派の重鎮、中西先生が講義したものを文章化したものらしいです。説明を簡易的でわかりやすいです。2008年代からこうなるぞという見通しがかなり当たっていて怖くなりました。かなり勉強になる本です。2018/04/25
わたてつ
6
2008年の京大講義録で、非常に読みやすい。世界のグローバル化の潮流の次に訪れるのは、「国家の再浮上」と推論するが、これからの国際政治を見る一つの指標としてみたい。2024/03/12