PHPサイエンス・ワールド新書<br> 動物たちの反乱―増えすぎるシカ、人里へ出るクマ

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PHPサイエンス・ワールド新書
動物たちの反乱―増えすぎるシカ、人里へ出るクマ

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  • サイズ 新書判/ページ数 332p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569708300
  • NDC分類 615.86
  • Cコード C0245

出版社内容情報

いま、日本の動物に何が起こっているのか!?

増えすぎたシカ、クマ出没の奇妙な謎、サルVS農家……。世界的なサル学者や日本を代表する動物学者らが日本の動物の「今」に迫る。

国の森林皆伐計画によって繁殖力が強化され、森林の土壌に大きな影響を与えるまでに増えたシカ。数年に一度大量出没するクマ。食物だと認識していなかった人間の農作物を、採食し始めたニホンザル。神戸市内でゴミをあさるイノシシ…。

▼かつて人と動物の“入会地”であった日本の里山は、今や野生動物の領有地となっている。なぜこのような問題が起こっているのか? 人と動物と森の理想的なあり方とは? 兵庫県はこれらの問題を解決するために、2006年、兵庫県森林動物研究センターを設立した。本書は、同センターの名誉所長であり、世界的なサル学者である河合雅雄、同センターの所長で東京大学教授の林良博、そして同センターの研究員六名が、野生動物の現状に迫った一冊である。日ごろ野生動物と接する機会が少ない都会人にこそ、日本の環境の実態を知るために読んでもらいたい。

●まえがきにかえて(河合雅雄) 
●第一章 野生動物の反乱(河合雅雄) 
●第二章 里山とは何か(河合雅雄) 
●第三章 ワイルドライフ・マネジメント(室山泰之) 
●第四章 ニホンザルの被害はなぜ起こるのか(室山泰之) 
●第五章 シカと向き合う(横山真弓) 
●第六章 ツキノワグマ ――絶滅の危機からの脱却(横山真弓) 
●第七章 イノシシ ――人の餌付けが悲劇を生む(坂田宏志) 
●第八章 外来生物 アライグマとヌートリア(坂田宏志) 
●第九章 野生動物管理と獣医学(森光由樹) 
●第十章 森林から野生動物との共存を考える(藤木大介) 
●第十一章 獣害と地域住民の被害認識(鈴木克哉) 
●第十二章 日本人の動物観(河合雅雄) 
●第十三章 倫理面から見たワイルドライフ・マネジメント(林 良博) 
●あとがき (林 良博)

内容説明

国の森林皆伐計画によって繁殖力が強化され、森林の土壌に大きな影響を与えるまでに増えたシカ。数年に一度大量出没するクマ。食物だと認識していなかった人間の農作物を、採食し始めたニホンザル。神戸市内でゴミをあさるイノシシ…。かつて人と動物の“入会地”であった日本の里山は、今や野生動物の領有地となっている。その原因は何か?人と動物と森のあるべき姿とは?世界的サル学者と専門家たちが、日本の動物の現実に迫る。

目次

野生動物の反乱
里山とは何か
ワイルドライフ・マネジメント
ニホンザルの被害はなぜ起こるのか
シカと向き合う
ツキノワグマ―絶滅の危機からの脱却
イノシシ―人の餌付けが悲劇を生む
外来生物 アライグマとヌートリア
野生動物管理と獣医学
森林から野生動物との共存を考える
獣害と地域住民の被害認識
日本人の動物観
倫理面からみたワイルドライフ・マネジメント

著者等紹介

河合雅雄[カワイマサオ]
1924年、兵庫県に生まれる。京都大学理学部動物学科卒業。現在、京都大学名誉教授、兵庫県立人と自然の博物館名誉館長、兵庫県立丹波の森名誉公苑長、兵庫県立森林動物研究センター名誉所長。専門は生態学、人類学。サルからヒトへの進化の問題を研究している。朝日賞、NHK放送文化賞、紫綬褒章、日本学士院エジンバラ公賞などを受賞。主な著書に『河合雅雄著作集13巻』『人間の由来』(毎日出版文化賞)(以上、小学館)、『小さな博物館』(産経児童出版文化賞、筑摩書房)、『少年動物誌』(野間児童文芸賞推奨作品賞、福音館書店)などがある

林良博[ハヤシヨシヒロ]
1946年、広島県生まれ、富山県育ち。1969年、東京大学農学部卒業後、同大学助教授、ハーバード大学客員研究員、コーネル大学客員助教授などを経て、東京大学大学院農学生命科学研究科教授、兵庫県立森林動物研究センター所長。専門分野は動物資源科学、ヒトと動物の関係学など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やすらぎ🍀

162
ヒトは動物であり太古から生物の一員として共存してきた。狼や猪や鹿と同じように食料を求めて生きてきた。森がなくなり温暖になり海岸は侵食され、でも動植物は適応しながら生きている。人間はなぜか変わることを拒否している。動物が学び賢くなることを心底で恐れている。被害を及ぼすものを獣害だという。目の前に柿があったら食べたいと思うのが生物である。変わってしまったのは人間なのだと思う。これ以上自然から孤立してしまうとどうなるのだろう。どんなに人間がこの世界を荒らそうとも、生物は人間を避けながら生き続けていくことだろう。2020/06/14

yamakujira

8
急増する獣害について、その背景を考察、現状を調査、そして動物の生態を考慮して対策を探るとともに、日本人と野生動物の関係を考えるなど、とても有意な論考を興味深く読んだ。8人が分担して書かれた各章からは、野生動物と人間との共存を模索する真摯な熱意が伝わって頼もしい。獣害の被害者の怒りは動物よりも無策な行政と傍観者に向けられてるようで、現状は痛ましいけれど、動物への親近感に救いを感じる。そろそろ土建国家を脱却して、後世に財産を遺す環境整備と啓蒙活動に国策としての費用投下が必要だろう。 (★★★★☆)2016/11/21

kenitirokikuti

5
2009年刊行と少し古い。いまより野生動物による農作物被害が少なかったのか、本書のまとめ役は生態学・人類学で、サル系のひとだ▲かつて農作物被害…いや、稲にとっては虫害が最大の敵だった(スズメやカラスなど鳥類も)。これは農薬によっておおむね克服された▲シカやイノシシが山から人里に下りてきたのは事実だが、もともと獣は平野にもいたのであって、それ自体はなんら不自然なことはない。むしろ、農村にヒトが減ったことの方が原因である2018/01/14

Sakie

3
ニホンザル、シカ、ツキノワグマ、イノシシ、外来種。ひとくくりに害獣と呼ぶが、それぞれ人間との歴史も対処法も違う。日本人は里山と呼ぶ野生動物との入会地を設けたり、野生動物を遠ざける方法を継承したり、共に在る生き方を知っていたのに、戦時の物資難の間に、また経済成長に気を取られた間に失くしたのだ。そして状況は変わりつつある。ワイルドライフマネジメント。現代だから得られるデータを基に、共存の道は再び開かれねばならない。全般的に野生動物の問題について知ることができて良い。アニマルウェルフェアにも通じる。鹿食べたい。2014/04/24

yuya

1
自然から遠ざかってるから関心がなくなってるのかも もっと自然に触れて知ることが大事2019/05/09

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