PHP新書<br> 戦後民主主義と少女漫画

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戦後民主主義と少女漫画

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  • サイズ 新書判/ページ数 234p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569705149
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0236

出版社内容情報

少女漫画が当時の若者に与えた影響を考察する。

大島弓子と萩尾望都、岡崎京子……少女漫画の名作を読み解きながら、一九七〇年代から現在に至るまでの“純粋少女”の変遷をみる。

一九七〇年代から現在に至るまで、巨大な潮流をつくってきた少女漫画の歴史を、<純粋少女>をキーワードに読み解く。とくに“二十四年組”を中心に花開いた<少女漫画>の魅力とその高度な達成について――大島弓子の『バナナブレッドのプディング』、萩尾望都の『トーマの心臓』、そして岡崎京子の『ヘルタースケルター』を主な手がかりに――戦後文化論として読み解く。少女漫画のヒロインたちが抱える繊細な“怯え”は、大人の論理が強要する安易な成熟の拒否であり、無意識の抵抗だったのではないか。今日に至るまで連綿と受け継がれてきた“震え”や“怯え”の伝達装置としての<純粋少女>たちに、高度消費社会の諸矛盾を、戦後民主主義の限界を乗りこえる可能性をみる。巻末に「少女漫画の名作一覧」を収録。

●序章 七十年代少女漫画前史 ――戦後民主主義と成熟の拒否 
●第一章 大島弓子と『バナナブレッドのプディング』 
●第二章 純粋少女とは何か? 
●第三章 萩尾望都と『トーマの心臓』 
●第四章 岡崎京子と『ヘルタースケルター』 
●終章 純粋少女と少女漫画のいま 
●[巻末付録]少女漫画の名作一覧

内容説明

一九七〇年代から現在に至るまで、とくに“二十四年組”を中心に花開いた“少女漫画”の魅力とその高度な達成―大島弓子と萩尾望都、岡崎京子の作品を主な手がかりに、少女漫画を戦後文化論として読み解く。ヒロインたちが抱える繊細な“怯え”は、大人の論理が強要する安易な成熟の拒否であり、無意識の抵抗だったのではないか。今日に至るまで連綿と受け継がれてきた“震え”や“怯え”の伝達装置としての“純粋少女”たちに、高度消費社会の諸矛盾を乗りこえる可能性をみる。巻末に「少女漫画の名作一覧」を収録。

目次

序章 七〇年代少女漫画前史―戦後民主主義と成熟の拒否
第1章 大島弓子と『バナナブレッドのプディング』
第2章 純粋少女とは何か?
第3章 萩尾望都と『トーマの心臓』
第4章 岡崎京子と『ヘルタースケルター』
終章 純粋少女と少女漫画のいま
巻末付録 少女漫画の名作一覧

著者等紹介

飯沢耕太郎[イイザワコウタロウ]
1954年宮城県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了。1990~94年、写真誌『デジャ=ヴュ』編集長を務めるなど、写真評論家として精力的に活動を展開。『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書)でサントリー学芸賞、『「芸術写真」とその時代』(筑摩書房)で日本写真協会年度賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

阿部義彦

17
著者の本業は写真評論家、私より7歳年上です。70年代の少女漫画を入口として、戦後民主主義から超高度消費主義社会までを語ります。取り上げる漫画家は主に3人、大島弓子、萩尾望都、岡崎京子です。第一章のタイトルが『大島弓子とバナナブレッドのプディング』です、やってくれてます、勿論橋本治の評論なんかも引用しつつ、はっぴいえんどの女王についての考察を進めます。その後萩尾望都、岡崎京子に至ります。岡崎京子の『ヘルタースケルター』と大島弓子の『つるばらつるばら』との同一構造性には、あっと驚きました。かなり濃いです。2023/09/06

ぐうぐう

9
飯沢耕太郎が少女漫画を批評することに、まず驚いた。どうやら飯沢が熱狂的な少女漫画好きであることを知った編集者の企画らしい。しかも、新書の読者層を狙ってか、戦後民主主義というお題目まで命じられては、飯沢に同情すらしたくなるほどだ。予想通り、先行する大塚英志の著作の影響から抜け出ることなく、熱烈な少女漫画ファンの域を出ない内容となってしまった。本書でほんの少し触れられるガーリーフォトブームを作った女性写真家達との関連で少女漫画を語ったほうが、よっぽど飯沢耕太郎の個性が出たように思えて残念だ。2009/07/06

佐島楓

8
評価が難しい・・・。少女漫画の中でも自己肯定が大事にされ始めたのが70年代前後というのはわかる気がする。今現在につながる文化の中での文学性も確かに存在する。以降はバブル崩壊とか、ツールの問題とか、いろいろな要因が絡むんじゃないかな。あまり漫画を読まなくなった人間なので、はっきり意見はできないけれど。2011/08/27

カキ@persicape

5
期待してたのと違ったという新書あるあるに遭遇。タイトル詐欺だよね?ただこのおじさんが素晴らしいと認めている少女漫画への愛は伝わった。好きでしょうがないのだろう。でも論じるには不要なノスタルジー成分がかなり入ってる様が私には拭えなかった。おじさん目線で昔は良かったと上から語っていて、へぇーそうなんですかぁと若者として興味深く相槌はとりあえず打っとくみたいな読書になった。それとバナナブレッドのパンプティングを熱く語っておったが大学1年の時に読んでるんだよなぁ、おかしいなぁ、内容全く覚えてない(^^;;2017/01/18

wm_09

4
筆者が、大島弓子・萩尾望都・岡崎京子らを好きな理由を「純粋少女性」という言葉でなんとか言語化していこうとする試みは評価できる。「24年組」を好きな理由、現在の少女漫画に軽さを感じる理由、「ハチクロ」に24年組らしさを感じ取った理由、それらを言葉にするのはたぶんすごく難しい。「純粋少女性」の定義が結局あいまいになってしまったのは残念だが、「じゅずつなぎ思考」は面白かった。結局のところシチュエーションの問題じゃない気がする。(ローウェル嬢)2010/12/27

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