PHP新書<br> 封建制の文明史観―近代化をもたらした歴史の遺産

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封建制の文明史観―近代化をもたらした歴史の遺産

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  • サイズ B40判/ページ数 266p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569704708
  • NDC分類 362.04
  • Cコード C0220

出版社内容情報

「封建制」を再評価する文明論的考察の書。

封建制とは近代化の通過儀礼であり、民主主義に至る絶対条件である。西洋、日本、中国の歴史をひもときながら、封建制の再評価を試みる。

封建制は民主制の反対概念として、悪しきものの形容詞にされてきた。しかし、歴史学的に検証すれば正しい評価といえるのだろうか? 十三世紀、蒙古軍の侵略をはね返した日本、西欧、エジプトの三地域では、いずれも封建制が確立していた。中国やペルシアなど、官僚制が行き渡っていた領域、あるいは東欧のように建国ほどなく封建制も緒についていない地域は、たやすく蒙古軍に踏み破られたのだ。また、ルネッサンスや産業資本主義も、極東、西欧、中東という、モンゴルの影響を逃れた地域から発展している。私たちは、封建制なる事象をどう考えてゆけばよいのか。本書では「封建」の歴史的経緯や語源をたどりながら、福沢諭吉、梅棹忠夫、網野善彦、ウィットフォーゲルなどの学説を丹念に検証。第二次大戦後、日本の敗戦は前近代の封建制が充分に克服されていなかったとする進歩的文化人の見解に異議を申し立て、歴史遺産としての封建制に光をあてた真摯な論考である。

●序章 現代日本に受け継がれている封建制 
●第一章 モンゴルの世界征服と封建制 
●第二章 日本人は封建制をどうみてきたか 
●第三章 島崎藤村と大隈重信 ――封建制評価の動き 
●第四章 近代日本と封建制 
●第五章 梅棹忠夫とウイットフォーゲル 
●第六章 その後の封建制論

内容説明

封建制は民主制の反対概念として、悪しきものの形容詞にされてきた。しかし、歴史学的に検証すれば、正しい評価といえるのだろうか?十三世紀、蒙古軍の侵略をはね返した日本、西欧、エジプトでは、いずれも封建制が確立していた。また、近代化、産業資本主義も、封建制が根づいた地域から発展している。私たちは、封建制なる事象をどう考えてゆけばよいのか。福沢諭吉、梅棹忠夫、網野善彦、ウィットフォーゲルなど諸先学の学説を丹念に追いながら、歴史遺産としての封建制に光をあてた真摯な論考。

目次

序章 現代日本に受け継がれている封建制
第1章 モンゴルの世界征服と封建制
第2章 日本人は封建制をどうみてきたか
第3章 島崎藤村と大隈重信―封建制評価の動き
第4章 近代日本と封建制
第5章 梅棹忠夫とウィットフォーゲル
第6章 その後の封建制論

著者等紹介

今谷明[イマタニアキラ]
1942年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業後、大蔵省、経済企画庁に勤める。その後、京都大学大学院へ入学し、1976年、同大学院文学研究科博士課程単位取得退学。文学博士。専攻は、日本中世政治史。国立歴史民俗博物館助教授、横浜市立大学教授、国際日本文化研究センター教授などを経て、現在、都留文科大学学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

42
著者は室町時代など中世政治史の人で、思い切った仮説を展開する学者。本書は「封建制」という歴史学的用語が、日本では"反民主主義的"という意味で使われてきた等、封建制概念の変遷史を語る、まあ研究余禄のエッセイか。実は、藤村論にかなりページが費やされ、藤村の歴史観の先見性が称えられているのだ。藤村は、日本は江戸時代に封建制を経験したからこそ植民地化が避けられたと主張したが、日本中世が封建制であるという学説が日本に紹介されていなかった頃に、西欧の学説を念頭にした藤村の博識は端倪すべからざるものがある、という。↓2016/11/11

おらひらお

3
2008年初版。何気なく使っている封建制の日本での出現とその展開について、歴史的に振り返ったものです。島崎藤村の感覚がすごいですね。やや、面白みには欠けますが、一読すべきものかもしれませんね。あと、今更ながら梅棹忠夫に関心が及びました。2013/04/18

兵衛介

2
「封建」という史学用語を巡る論争史。著者買いしたが、素人にはあまりピンと来なかった。2008/11/22

田九七

1
日本が神風でなく、自分の動員力と軍事力でモンゴルを撃退したのだ。ドイツもエジプトも自分が強いからモンゴルを撃退したのだ。なぜ強かったかというとみんな封建制からだ。という第1章の論理はどんどん疑わしくなる気がします。その次の部分では、日本は封建制だったかどうか、封建制の評価をめぐる諸説が集められました。梅棹忠夫とウィットフォーゲルの関連性が面白い。あとがきでも言われたように、外国の研究は邦訳版だけ利用されたため、物足りない感じがします。清末民国期の中国人の間、このトピックも議論されたが言及されず、残念です。2022/01/27

三上 直樹

1
日本と西欧に共通して存在したと言われる封建制を、歴史的に振り返りながら、明治以降にどのような論争を引き起こしてきたのかを明らかにした論考。興味を引く部分はありましたが、これをなぜ中世史の権威が語るのか、不思議です。2017/06/11

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