出版社内容情報
この頃いろんなことを忘れるぼくのおばあちゃん。「キノシタキノコさんと友だちになった」っていうけど、一体どんな人なんだろう……? この頃いろんなことを忘れる、ぼくのおばあちゃん。「きょうはなにようび」と朝から何度もぼくにきいて、何度教えてあげても忘れちゃう。そんなおばあちゃんがある日散歩にでかけたきり一晩帰ってこなかった。 次の日帰ってきたおばあちゃん、「キノシタキノコさんのうちにいったの」って言う。キノシタキノコさんと一緒に雲のヘリコプターにのって、山のてっぺんにあるキノコの形の家に着いて、ケーキノコっていうお菓子を食べたんだって。おみやげにもらってきたキノコは、食べるとどんな病気も治って若返るキノコで、一つ何百万もすると分かり、お父さんもお母さんもびっくり! ……キノシタキノコさんて一体誰なんだろう? 痴呆性老人の頭の中には、こんな楽しい世界が広がっているかもしれない…という著者の暖かい眼差しが感じられる、老人問題も提起した作品。読者をぐいぐい物語にひきこむ筆致と井上氏の絵が魅力の楽しい一冊。
内容説明
このごろいろんなことをわすれるぼくのおばあちゃん。あるひさんぽにでかけたきりひとばんかえってこなかった。「キノシタキノコさんのうちにいってたの」だって。いったいだれなんだろう…?小学1―3年生向。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遠い日
9
装画、挿絵は井上洋介さん。それが、キノコ話の曖昧模糊としたお話の世界にぴったり。おばあちゃんが出会ったというキノシタキノコさん。飼っているネコはナメコで、イヌはシメジ。お土産にもたせてくれたのは幻のキノコ、マボロシタケ。キノコの神秘性を逆手にとって、これだけ語られると、なんだか頭が痺れてきたような……。2021/08/24
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
2
5年生ブックトーク授業 テーマ【国語科単元 雪わたりから、宮澤賢治作品の多読と図書すいせん会に向けて】選書に向けて再読。2018/11/21
きゆやすか
1
キノシタキノコさん、飼っている猫はキノシタナメコ、飼っている犬はキンシタシメジ。キノコワールドですな。2017/10/26
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
0
26年度3年生ブックトーク授業2014/07/14
紅独歩
0
井上洋介氏によるステキノコがたっぷりと。よく考えるとなにひとつ解決していない。(キノシタキノコさんの実在すらあやしい)むりやり「加齢を受け入れることで、本人も家族も楽しく生きる」という教訓を読み取れないでもないけれど、どこかに毒めいた妖しさが残るのである。2016/05/11