出版社内容情報
二人の少女にしか見えない「人くい鬼」の存在。そして別荘地で起こる連続死体消失事件。少女達が遭遇したひと夏の奇跡を描く感動作。
【著者紹介】
作家
内容説明
高校二年の夏休み、村尾信乃はアルバイトのため優雅な避暑地を訪れる。そこで美少女・芽理沙に引き合わせられたのは“人くい鬼”なる異様な生き物。生きている人に危害は与えず、大人には見えないというのだが…。そんな中、立て続けに起きる不可思議な事件。“人くい鬼”の仕業ではないと信じる二人は、真犯人を捜して調査を始めた。ひと夏の奇跡を描く、爽やかなミステリー。
著者等紹介
松尾由美[マツオユミ]
1960年、石川県生まれ。1991年に「バルーン・タウンの殺人」で、ハヤカワSFコンテストに入選、作家活動を開始する。日常の中にファンタジックな要素を取り入れた設定を得意とし、そのユニークさには常に注目が集まる。ジャンルを超越した奥深い物語世界、優しく温かみにあふれた作風は、多くの読者に愛されてやまない(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マク
26
モーリスが何故かとても可愛らしく感じた。一応人くい鬼とのことだが、人を襲うわけでもないし、そもそも人以外も食べる? 死んで間もない存在にしか興味がなく、食べられた?存在は宙に浮かんでから消える。 一種の神様的な存在だと思う。 モーリス含めて全体的な雰囲気がとても素敵。本書はモーリスが気に入るかどうかで好き嫌いが別れるかも。2013/05/23
とも
25
★★★★絵本作家モーリス・センダックのオマージュ作品。したがって当書で登場する人くい鬼モーリスは、『かいじゅうたちのいるところ』の「かいじゅう」であるが、やさしいかいじゅうである。またモーリスは、「人くい」ではあるが決して自分から人は殺さない。もうひとつの設定は、子供にしか見えないということ。子供から大人への移る端境期、その微妙な年端とミステリー要素をうまく、作品に仕上げた作品となっているが、全体的にはしっかりと絵本的な空気感が残っている。夏の避暑地で読むのに最適な1冊かもしれない。2018/08/04
ネムコ
15
「人くい鬼」なんていうからファンタジーかと思ったら、結構ガッツリ、ミステリーでした。ちゃんと(?)人も死ぬし。主人公の少女ふたりの心情も入り込みやすく、一夏お金持ちの優雅な別荘で過ごした気分を味わえました。松尾さんは「ハートブレイク・レストラン」で良い印象を持っていた作家さんでしたが、改めて追いかけたみたくなりました。2014/02/20
みすまりも
10
予想外に面白かった!子供にしか見えない「モーリス」。ファンタジーかと思いきや、しっかりミステリー。なのに謎解きに大きく係る「モーリス」の存在。少し寂しく、少し悲しく、でも心温まるひと夏の体験。2015/11/08
如月小町
9
表紙の裏の本文の抜粋に惹かれて読み始めた。 「人くい鬼モーリス」の正体をしりたくて。ミステリーとしてはいま一つだけど、ひとり生き残ってきたモーリスの孤独を思うと胸が痛む。ファンタジーというより、私の中では絶滅危惧の動物の最期に立ち会った感じでした。2014/12/23