内容説明
「日本がいつ、どのように誕生したか」の重要なカギを握る『記紀』。本書では「纏向遺跡は本当に邪馬台国なのか?」「神功皇后の新羅遠征は創作?」「継体天皇は新王朝をひらいたのか?」など、いまだ結論が出ていない謎を東アジアの歴史も交えつつ、最新考古学の発見と文献を駆使して解説する。
目次
第1章 日本神話の舞台(『古事記』『日本書紀』とは何か;国生み;神生み ほか)
第2章 王家の伝説(欠史八代;崇神天皇と三輪山の祭祀;邪馬台国と大和朝廷 ほか)
第3章 『日本書紀』が語る歴史(継体天皇の登場;磐井の反乱と加耶;継体・欽明朝の内乱 ほか)
著者等紹介
武光誠[タケミツマコト]
1950年、山口県防府市生まれ。1979年、東京大学大学院国史学博士課程を修了。文学博士。現在、明治学院大学教授。日本古代史を専攻し、歴史哲学的視野を用いた日本の思想・文化の研究に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
114
”古事記”や〝日本書紀”で語られている名跡を写真や地図を使用して紹介している1冊。しかも単に名跡案内というだけではなく、”古事記””日本書紀”に対する著者自身の独自の解釈が加えられており、なかなか面白く仕上がっていると思う。ただ独自の解釈がいささか飛躍し過ぎている傾向があって、正当な歴史的解釈から逸脱している箇所がいくつか見つけ出すことが出来る。それをどう思うかは読者次第といったところだろうか。”古事記”や〝日本書紀”自体には、その背景を解説していないので、その一助とすべき一書といえるだろう。2016/11/30
saga
34
記紀に関する解説本は2冊目だが、地図による解説はありがたい。古代の為政者が編纂を命じた史書と言うのは、現政権に都合の良い解釈や虚構が含まれるという視点が必要だ。記紀で扱われる神々や天皇の話が一致しない部分があるのは、編集者が異なるとは言え不自然だが、本書ではその不自然さには言及していない。2015/01/07
マカロニ マカロン
15
個人の感想です:B+。来年『古事記』を読もうとしているので、その予習。神話時代の国生み、神生み、天孫降臨、国譲りから始まり、神武天皇の大和平定、邪馬台国、神功皇后の三韓遠征、雄略天皇、継体天皇、仏教伝来、大化改新・・・。いったいこの間にどんだけ天皇や皇子たちが陰謀やだまし討ちで殺されるのだというくらい生臭い歴史?物語?名前も読みにくい、発音しにくいで覚えられない。でもこの本は系図や地図がたっぷり掲載されていて、参考書としてはわかりやすかった。この本を片手に、古代の遺跡、古墳を聖地巡礼してみたい2022/12/28
アラレちゃん
14
今年は古事記が編纂されて、ちょうど1300年にあたる。最近、日本の古代史に興味があり、読み易そうだったので購入。サクサクっと読めた。図やら系図やらが、たくさんあったのも理解しやすく、良かったと思う。2012/07/19
mimi
10
大古事記展を見に行く直前、書店で偶然見かけて手に取り、一章をさらっと読んでから展示を見たので、古事記の大まかな流れや主要な登場人物は掴めた。古事記と日本書紀の違いが図表も用いて明確に表されているし、それぞれの内容がどんな歴史的背景から作られたものなのかもわかった。時代が下るにつれ、昔日本史で学んだ歴史事項が出てくるのだが、あやふやな記憶ではどこまでが歴史でどこまでが創作なのかやや混乱。歴史の復習をしてから再読したら知識が整理されてより理解が深まるだろう。ともあれ、随所にある地図はとてもわかりやすい!2014/10/28