内容説明
宅配便ドライバーの寺坂脩二は、仕事が休みの日に友人の代わりに「交通安全の旗持ち」をすることになった。そこで彼は登校班から一人遅れて歩く女の子を見つける(「第一話・みどりのおじさん」)。ほか、忽然と姿を消した銀幕のスター(「銀幕の恋人」)、ひきこもりの青年(「透明な面影」)など、元探偵の脩二が配達先で遭遇する五つの物語を収録。日常に潜む謎を描く名手が贈る、ハートウォーミング・ミステリ。
著者等紹介
青井夏海[アオイナツミ]
千葉県生まれ。慶應義塾大学卒。1994年『スタジアム虹の事件簿』を自費出版し、ミステリー界で幻の名著として評価を受ける(その後、東京創元社より文庫刊行)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miri
73
毎度お馴染み、宅配便ドライバーが主人公。この主人公が元探偵社勤務ということで、日常の謎に挑むというミステリー仕立て。青井さんは、さっぱりとした作風で、ハートフルな内容でも重たくも軽すぎもしないというバランスが好き。四編目は、ひきこもり問題がテーマ。本来、対処が難しい問題なのですが、ひとすくいの心の絡まりをほどいて希望を持たせる最後に、こちらも活力を貰った思い。2020/05/17
はる
57
探偵を辞めて、今は宅配便のドライバーをしている男が主人公の日常ミステリー。ぶっきらぼうだけれど情に厚い主人公がなかなかいい味出してます。設定も面白いし、少し哀愁を帯びたストーリーも良くできていると思います。ただ、自分勝手な人ばっかり出てくるのが残念。主人公もちょっとキャラクターが弱いかな。子供とのバディ物にしたらもっと面白くなったかも(それだと坂木司さんの作品のようになってしまうけど)2015/11/15
dr2006
34
日常系ミステリー連作短編。ハードボイルドだけどジ~ンとくるバランスの良さが好き。青い空の下日々頑張る宅急便ドライバーの主人公脩二が、ある意味巻き込まれるかたちで様々な事件を解決する姿を描く。さりげなく襟を正せられるというか、正当なおせっかいというか、読んでいてすごく心温まった。「荷物を配達しているのか不在票を配達しているのかわからなくなる」という脩二の言葉に、宅急便の配達は想像以上に不在が多く再配達が一番大変でロスであることがわかった。初読みの作家さん、続編も楽しみだが他の既刊も読んでみたい。2015/10/29
エンリケ
34
元探偵である宅配便運転手が事件を解決する異色短編。事件はいずれも長閑なもので、殺伐とした雰囲気はあまり無い。しかし、日常接している人々の悪意や誤解が招いて起こるちょっとした悲劇が展開する。結末は快刀乱麻という訳では無いが、人生の機微を良く弁えた主人公が腕をふるう。不穏な雰囲気を醸し出す人物達の裏事情は意外に深刻さは無い。表題はそんな所を表しているのか。ぶっきらぼうな癖におせっかいな主人公が魅力的。リラックスして読める日常ミステリー。ちょっとした人情物語。2014/12/09
roomy
24
初青井作品。とても読みやすくてあっという間に読了。読後感もいいし軽く読めるので長編の合間に読むといいかも。最後の「ウサギたちの明日」の永瀬くんの手紙にはちょっとうるっとした。他の作品も読んでみようかな。2013/07/17
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