内容説明
史上初の山本周五郎賞・直木三十五賞のダブル受賞となった『邂逅の森』をはじめ、自然と人間の葛藤と共生をモチーフに、手練の長篇小説を発表してきた著者。そのまなざしは、中央より地方を、強者より弱者を見つめ、人間の本質を「勘違いをしたサル」だと見抜く。そんな著者が、取材や日々の生活などを通して考えたこと、感じたことを、徒然なる筆致で綴ったエッセイ集。
目次
蝦夷と大和、ふたつの貌
個人的なふたつの貌
マタギと選挙
シベリアの狩人
明かりの問題
北海道の貌
北の貌と南の貌
開拓民の貌
作家の貌を暴く本
勘違いのサル
家族の貌
真剣な貌、趣味の意味
人間のレーダーとリアリティ
本の手触り
小説家の生態
道草を食えない子どもたち
日本列島の貌
最後にもう一度、開拓民の貌
著者等紹介
熊谷達也[クマガイタツヤ]
1958年宮城県生まれ。東京電機大学理工学部数理学科卒業。97年『ウエンカムイの爪』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2000年『漂泊の牙』で新田次郎文学賞、04年『邂逅の森』で山本周五郎賞と直木賞を史上初のダブル受賞。仙台市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うめきち
5
熊谷さんの小説を読破した方にはたまらない一冊。執筆に当たっての様様なエピソードが書かれていて、それぞれの本のテーマにあたることが、作者の言葉でストレートに伝わって来る。ファンとしてどうしても知りたかった熊谷達也さんの人柄まで知ることができる。 自然に対する畏怖と人間としての謙虚さが感じられ正直ますますファンになった。2014/01/09
どえみ
3
エッセイ集でチョイと現実に戻ってみた。 勘違いのサル=人間です。 確かに。 でも勘違いって時には人生を彩る素敵な要素だったりするのよね。 痛い勘違いはダメだけれども、、、 悪までも、時には、、、ね。2014/07/10
さんつきくん
3
仙台市在住の直木賞作家・熊谷達也先生のエッセイ集。自然・動物・人々の葛藤を掘り下げて、丹念に調べて、深い作品を書き上げる、熊谷達也先生のエッセイは興味深い。今まで発表した長編作品や短編集とリンクするエピソードも多い。動物学的に人類と猿を対比させ、いつの時代になっても基本的な習性は変わらないと言う主張が興味深かった。そして、小説のリアリティを追求するための緻密な取材をする熊谷達也先生。その緻密な取材姿勢に感嘆とするばかりである。その姿勢が小説作品に反映されているのは言うまでもない。2013/09/25
yamakujira
2
雑誌への連載をまとめたエッセイ集。取材のこぼれ話はおもしろいものの、作者の趣味である音楽やバイクのことなど私事の話題になると興味が湧かないので今ひとつ、エッセイというのはそういうものだとわかってるのに、どうも退屈な部分が多かった。剽窃事件の釈明や弁解や懺悔を期待したのに、このエッセイの連載はそれ以前だったのか。剽窃は非難されるべきなのはもちろんだけれど、立松和平や池宮彰一郎や著者のように、ある程度の地位を築いた作家まで間違いを犯してしまう心理が知りたかったのにな。 (★★☆☆☆)2020/02/01
星辺気楽
1
直木賞作家のエッセイ集。文章が秀逸。2018/02/15




