出版社内容情報
中国地方の覇王となった男の激動の生涯を描く。
安芸の小領主であった毛利家を機略・調略でもって、見事中国地方の覇者にまで押し上げた元就。その波瀾に満ちた生涯を描く歴史巨編。
地侍が跋扈する中国地方を、他を圧倒する智謀と戦略で統一した毛利元就。しかし、覇者にはつねに暗い孤独の影がつきまとっていた。
▼幼いころに両親と死別。唯一の肉親である兄とも遠く離れ、残された居城は家臣にのっとられるという過酷な運命に見舞われる。
▼「わたしはこの世から見捨てられた人間です」という少年元就を支え続けたのは、血のつながらない聡明な母だった……。
▼当主となってからの元就は毛利家を中心とした地侍の連合をめざし、様々な手段を用いた。元就が重んじたのは「武略」「調略」「計略」。慎重に相手を探り、罠を張り巡らせ、行動を起こすときは迅速に。ときには家臣をも血の粛清にかけ……。そのたびに元就のこころは暗く、冷たいしずくで満ちていく――。
▼三人の息子に「三本の矢」の教訓を遺した元就の胸中には、家族に対し、いったいどんな思いがあったのか。
▼中国地方の覇者・毛利元就のこころの葛藤と人間像を鋭く描いた歴史巨篇!
●道の端を歩く少年
●新しい母
●横暴な宿将
●松寿丸とキツネ
●孤独という影
●表舞台へ
●初陣
●尼子と大内
●日輪信仰
●冷たいしずく
●鷲の羽をつぐ脇柱
●国人衆
●不動明王の身代わり
●水あっての船
●大内の傘下
●尼子襲来
●若き盟友・陶隆房
●討伐遠征
●分裂する大内軍
●悲惨な撤退
●“毛利の森”
●瀬戸内水軍と隆景
●毛利両川体制
●血の粛清
●尼子新宮党
●忠臣山中鹿介
●尼子でもない、大内でもない
●陶隆房の反逆
●風流大名の滅亡
●晴賢を討つ
●厳島へ
●「勝つ」「勝つ」
●遺訓
内容説明
武略・調略・計略をもって地侍をまとめあげ、中国地方を統一した毛利元就。両親を失い、兄も失い、居城は家臣に乗っ取られるという、過酷な運命に翻弄された少年を支えつづけたのは、第二の母だった…。孤独な心を抱えながらも、毛利家の結束をなにより大切にし、その智謀と決断力で大名へと駆け上がった元就。稀代の戦略家と恐れられた武将の内面を描いた歴史巨篇。
著者等紹介
童門冬二[ドウモンフユジ]
本名、太田久行。1927(昭和2)年、東京生まれ。東京都立大学事務長、東京都広報室長・企画調整局長・政策室長などを歴任。79(昭和54)年、美濃部亮吉東京都知事の退任とともに都庁を去り、作家活動に専念する。都庁在職中の経験をもとに、人間管理と組織運営の要諦や勘所を歴史と重ね合わせた作品で、小説・ノンフィクションの分野に新境地を拓く。『暗い川が手を叩く』で第43回芥川賞候補。99(平成11)年春、勲三等瑞宝章を受章。日本文藝家協会会員、日本推理作家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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