出版社内容情報
江戸の庶民が「食」に託した思いを大公開。
たとえば、おせち料理の数の子、田作には、江戸庶民の「思い」が託されていた! 川柳をまじえて紹介する「食」の意外なエピソード。
江戸時代の特徴を一つ述べよと言われれば、戦乱の時代が終わり、世の中が落ち着きを取り戻し、庶民文化が大輪の花を咲かせた時代と言えるのではないだろうか。滑稽な物語を綴った書物が盛んに読まれ、芝居小屋には人が集い笑いと涙があふれ、着物にも贅をこらした。それも文化の一面に違いないが、食に関する関心の高まりも、またその一面である。
▼本書では、人間が生きて行くには欠かすことのできない「食」に注目し、江戸の庶民たちの「おいしい生活」を支えた食物のエピソードを、古川柳を交えながら紹介した。
▼新年のお節料理には、豊作祈願、子孫繁栄などの意味を込め、春には家族・長屋でお重を持って花見に出かけ、夏には鰻で滋養をつけ、秋には松茸の香りを楽しみ、冬は蜜柑やネギを多く摂って風邪を予防した。
▼ここに紹介した意外にも、江戸の庶民が「食」に込めた知恵と心意気が分かる一冊に仕上がっている。江戸ファン必読の書。
▼文庫書き下ろし。
●第一章 ゆるゆるの新年
●第二章 ふわふわの春
●第三章 さくさくの夏
●第四章 ぱりぱりの秋
●第五章 ふうふうの冬
内容説明
日本全国から、さまざまな人が集まる大都市・江戸。春の桜餅、夏の冷奴、秋の秋刀魚、冬の湯豆腐…初夏には奮発して初鰹。庶民の食文化は各地の特色が交じりあい、四季折々の旬の食材を楽しむことになった。しかも、食べ物にはそれぞれ豊作や健康維持などの思いが込められていた。当時の川柳から、江戸っ子のこだわりと、八百八町のにぎやかな様子が見えてくる。
目次
第1章 ゆるゆるの新年(若水;屠蘇 ほか)
第2章 ふわふわの春(炒り豆;白魚 ほか)
第3章 さくさくの夏(蜆;柏餅 ほか)
第4章 ぱりぱりの秋(秋刀魚;菊 ほか)
第5章 ふうふうの冬(湯豆腐;夜鷹蕎麦 ほか)
著者等紹介
中江克己[ナカエカツミ]
出版社勤務を経て、ノンフィクション作家。函館生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。