出版社内容情報
歴史を盛り上げたわき役の「言い分」を徹底分析。
菅原道真、建礼門院徳子、佐々木道誉など、日本史の中で、「わき役」と見なされた人物たち。数奇な運命を、その言い分をもとに検証する書。
和気清麻呂、山本勘助、尾張宗春など、日本史の中で“わき役”とみなされた人物たち。言ってみれば、名前こそ知られているものの、何をしたのかがよくわからない。その時代にあって、「主役」が目立ちすぎて、脇に回らざるを得なくなった人々だ。しかし、彼らがそれぞれに成したこと、後の世に残した功績には見逃しがたいものがある。そうした事績に改めてスポットライトを当てて、その「言い分」を聞いてみようというのが本書の趣旨。
▼例えば、「学問の神様」と言われた菅原道真は、すぐれた文人であることばかりが強調されて、彼が有能な政治家であったことは忘れ去られた感さえある。はたして本当か。彼は朝廷の官僚として最高の地位にまで上り詰めたが、最後は罪人として亡くなっている。この世の常として、彼の政治家の功績はほぼ抹消されたと著者は想像する。こうした通説では見えにくい15人の本音をあぶり出す。
▼文庫書下ろし。
〈I〉古代~中世(和気清麻呂、菅原道真、源範頼、健礼門院平徳子、佐々木道誉) 〈II〉戦国(山中鹿之助、山本勘助、お市の方、筒井順慶、安国寺恵瓊) 〈III〉近世~近代(徳川秀忠、尾張宗春、小栗上野介忠順、山岡鉄舟、中江兆民)
内容説明
安徳天皇の母として、悲劇の一生を歩んだ建礼門院徳子、「婆娑羅をモットーに」乱世を型破りに闊歩した佐々木道誉…。日本史において主役でなく、徹頭徹尾「わき役」として存在しながら、独自の魅力を放つ人物たち。本書は、歴史的事実を踏まえ、その数奇な宿命に生きたわき役の心中に秘められた“言い分”を代弁した歴史読み物。通説からは見えにくい15人の本音をあぶり出す。
目次
1 古代~中世(和気清麻呂―新たなる「平安」の時代を切りひらいたテクノクラート;菅原道真―国政改革に生涯をささげた卓越せる文人官僚;源範頼―和をもって「平家追討」の壮挙をささえた大将軍 ほか)
2 戦国(山中鹿之介―“完全燃焼”すべく、おのれの信念をつらぬき通す;山本勘助―主役・信玄の“わき”をかためた戦国屈指の名軍師;お市の方―戦国の世を影で動かしつづけた女丈夫 ほか)
3 近世~近代(徳川秀忠―徳川幕府のいしずえを築いた律儀にして厳格な将軍;尾張宗春―大衆文化の冒険に賭けた尾張の殿さま;小栗上野介忠順―日露戦争に勝利した近代日本海軍最大の功労者 ほか)
著者等紹介
岳真也[ガクシンヤ]
1947年、東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院社会学研究科修了。66年、学生作家としてデビュー。98年に著した『吉良の言い分 真説・忠臣蔵』(上下巻、小学館文庫)は、各紙誌で話題を呼び、ベストセラーとなった。西武文理大学客員教授。法政大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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