出版社内容情報
北方謙三[キタカタケンゾウ]
著・文・その他
内容説明
国境を挟み、宋遼二国は一触即発の状態に。伝説の英雄・楊業と息子たちの前に、遼の名将・耶律休哥が立ちはだかる。白い毛をたなびかせて北の土漠を疾駆するこの男は、「白き狼」と恐れられていた。宋軍生え抜きの将軍たちも、楊一族に次々と難問を突きつける。決戦の秋!運命に導かれるようにして戦場に向かう男たち。滅びゆく者たちの叫びが戦場に谺する。北方『楊家将』、慟哭の終章。
著者等紹介
北方謙三[キタカタケンゾウ]
1947年(昭和22年)、佐賀県唐津市生まれ。作家。ハードボイルド小説を発表しながら、日本及び中国を舞台にした歴史・時代小説に取り組む。おもな現代小説に、『眠りなき夜』(吉川英治文学新人賞)など。歴史・時代小説に、『武王の門』『破軍の星』(柴田錬三郎賞受賞)『波王の秋』『三国志』『水滸伝』(司馬遼太郎賞受賞)など。2003年(平成15年)に『楊家将』で、第38回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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W-G
395
刊行当時に読んでいたら、続きが気になりすぎてしょうがなかっただろう。特に四朗。これで終わりだと思っていたら??となる。下巻も騎馬戦の描写はさすが。戦場面だけではなく、馬の調達や調練なども細かく書き込まれて、それもちゃんと面白い。太后や王欽招吉、瓊峨姫などなど、遼側の人物がいい味出していて、楊家軍は四朗/六郎/七郎以外の兄弟の影が薄い気がしながら読み進めると、楊業の最期で一気に盛り上がる。どちらが正義でどちらが悪ということもない、割り切れない切なさが他作と比べても強いように感じた。2019/02/20
三代目 びあだいまおう
239
嗚呼、絶唱、慟哭、悲壮な物語が幕を閉じた!国同士の飽くなき戦いに巻き込まれた無双無敵の軍人、楊業とその息子達の凄絶な、そして美しいほどの生き様を堪能した!味方の保身と臆病に晒され、己を守るは己の矜持のみ!護るべきもののため命を賭す孤軍奮闘の姿は涙を誘う!命を賭けて己の矜持を貫く無意味と意味!なぜ?まさか?お前が?と読み手を常に刺激する展開!いさぎよい漢の生き様を、それこそ縦横無尽に堪能できる傑作です‼️北方水滸伝の長さに萎縮する貴方、自分の人生の不幸に嘆く貴方に挑戦して欲しい漢のロマン歴史小説です‼️🙇2019/07/12
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
154
広大な中国の荒野を舞台にそれぞれの国の進退そして何より自らの誇りをかけた男たちの熱い生きざまを堪能することができました。男の強さそして弱さを上手く描きあげ、北方流ハードボイルドに浸ることはできるのですが、果たして一人ひとりに入れ込むことはできたのか。魅力的な人物像となってはいるのですが、あの長大な中国史に対して、上下巻という枠はあまりにも容量が少なく、描ききれないものも多くあったのかもしれません。2021/06/08
海猫
134
下巻に入ってからは、合戦の場面が増え、よりドラマチックに。ライバル的立ち位置の耶律休哥の人物造形も印象に残る。終盤の凄絶な展開を受けて、ラストは重いエンディングとなった。これでも一応終わってるけれども、やはり続編はほしいところで「血涙」が書かれたのも必然、といったところか。2019/05/07
ehirano1
105
武人とはこうも容易に躊躇なく潔く命を使うことができるのか?それとも武人として生きていくことを決めた時点からいつ死んでも悔いがないように覚悟を決めているのか? 下巻なのですが、続きあるとしか思えないエンディング。続編の「血涙」そしてその先にある「水滸伝」が気になってしかたないです。 2017/02/05