出版社内容情報
日本を終戦に導いた陸軍大臣の苦悩と決断。
いかにして青年将校の暴発を抑えつつ戦争終結に持ち込むか――終戦日に自刃した最後の陸軍大臣・阿南惟幾の決断と波乱の生涯。
昭和二十年八月十五日朝、日本の敗戦を目の前にして「一死 大罪を謝し奉る」と書き残し劇的な自決を遂げた大日本帝国最後の陸軍大臣・阿南惟幾。必ずしも武運に恵まれていたとはいえず、帝国陸軍の典型的軍人として平凡な道を歩んでいた彼は、その生涯最後の四か月、帝国陸軍の統率者という要職を担う。戦局が極度に悪化し、徹底抗戦、国体護持を叫ぶ青年将校と、連日の空襲で国土を焼かれ疲弊した国民との間に挟まれながら、巨大な組織の統率者として歴史の舵取りを託された彼は、何を考え、何を決断したのか。
▼本書は、自身三十代で敗戦を迎えたが「敗戦の認識はあいまいであった」と自覚した著者が、戦後膨大な終戦資料を読み込み、軍が和平を受け入れるまでの「死闘」を阿南惟幾を中心に再現しようとした一冊である。表向き徹底抗戦の意志を捨てなかった阿南の真意を探りながら、“戦争終末期”の実相を描き出す。PHP文庫版では澤地久枝氏の解説を収録。
●三十三回忌
●二・二六事件の訓話
●乃木将軍と小さな中学生
●無色の将
●徳義は戦力なり
●積極の士
●第二方面軍司令官
●豪北戦線へ
●孤独の決意
●ビアク島死守
●玉砕、待て
●楠公精神むなし
●航空総監として東京へ
●陸軍三条件を負う
●戦艦大和、海底へ
●「世界情勢判断」と「国力の現状」
●天皇の意志
●ポツダム宣言
●最後の闘い
内容説明
1945年8月15日、終戦を迎え、何も語り残さず自決した陸軍大臣・阿南惟幾。非凡な人材の集合体である陸軍のなかで自身の平凡さを自認していた彼は、その生涯最後の4か月、戦局が極度に悪化した状況下で、帝国陸軍の統率者という要職を担う。敗戦へと転がり進む時局の舵取りを迫られた彼は、何を考え、決断したのか。阿南の生涯に肉迫しながら、“戦争終末期”の実相を描き出した決定的評伝。
目次
三十三回忌
二・二六事件の訓話
乃木将軍と小さな中学生
無色の将
徳義は戦力なり
積極の士
第二方面軍司令官
豪北戦線へ
孤独の決意
ビアク島死守〔ほか〕
著者等紹介
角田房子[ツノダフサコ]
1914(大正3)年、東京生まれ。1938年、パリ大学へ留学。第二次世界大戦勃発により帰国。1940年、毎日新聞記者角田明と結婚。夫の転勤により再渡仏。パリ在住中の1960年に執筆活動を始める。自らの生きた時代を再確認したいという観点から、綿密な取材と均衡のとれた歴史感覚による軍人の伝記を多く手がけ、1984年からは日韓関係の歴史に集中して現在に至る
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ぼちぼちいこか
km.