PHP新書<br> 村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。

電子版価格
¥850
  • 電子版あり

PHP新書
村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 308p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569649344
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C0295

出版社内容情報

村上作品に潜む三島由紀夫の影。驚愕の春樹論。

村上作品につきまとう三島の影。だれも指摘しなかった村上氏の周到な仕掛けを読み解き、小説家という人種の見えざる葛藤と暗闘に迫る!

「作家の発言は多かれ少なかれみんな嘘だと思っています」。そう語る本人が25年間ついてきた<嘘>――「日本の小説はほとんど読まなかった」。作品にちりばめられた周到な仕掛けに気づいたとき、村上春樹の壮大な自己演出が見えてきた。

▼しかしそれは読者を煙に巻くためだけではない。

▼暗闘の末に彼が「完璧な文章と完璧な絶望」を叩き込まれ、ひそかに挑んできた相手はだれか? 夏目漱石、志賀直哉、太宰治、三島由紀夫……。「騙る」ことを宿命づけられた小説家たちの「闘いの文学史」が、新発見とともに明らかになる!


[小説家という人種]「志賀直哉氏に太宰治氏がかなわなかったのは、太宰氏が志賀文学を理解していたにもかかわらず、志賀氏が、太宰文学を理解しなかったという一事にかかっており、理解したほうが負けなのである」(三島由紀夫)……そんな三島こそ太宰の最大の理解者だったのでは? そして、その三島由紀夫の最大の理解者は?

●〈序となる文章〉「巨大な事物の真実は現れにくい」(村上春樹) ◇
[第I部]闘いと迷宮と ――新しい〈村上春樹〉の発見 
●〈第一の文章〉ある闘いの文学史 ――志賀直哉・太宰治・三島由紀夫 
●〈第二の文章〉太宰と三島という「二」の問題 ――『風の歌を聴け』 
●〈第三の文章〉「三」という出口へ ――『1973年のピンボール』 ◇
[第II部]世界分裂体験 ――村上春樹とその時代 
●〈第四の文章〉「鏡の中」の異界の問題 ――『羊をめぐる冒険』 
●〈第五の文章〉脳と意識の微妙な関係 ――『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』 
●〈第六の文章〉「死=生」を描くリアリズム ――『ノルウェイの森』を中心に ◇
[第III部]世界を含む世界へ ――『豊饒の海』からよむ村上春樹 
●〈第七の文章〉「『絶対の不可能』=可能」という主題 ――『春の雪』と『ノルウェイの森』 
●〈第八の文章〉「幻でないものがほしい ――『ダンス・ダンス・ダンス』と『奔馬』 
●〈終わりとなる文章〉「(小説家は)理解したほうが負けなのである」(三島由紀夫) 

内容説明

「作家の発言は多かれ少なかれみんな嘘だと思っています」。そう語る本人が25年間ついてきた“嘘”―「日本の小説はほとんど読まなかった」。作品にちりばめられた周到な仕掛けに気づいたとき、村上春樹の壮大な自己演出が見えてきた。しかしそれは読者を煙に巻くためだけではない。暗闘の末に彼が「完璧な文章と完璧な絶望」を叩き込まれ、ひそかに挑んできた相手はだれか?夏目漱石、志賀直哉、太宰治、三島由紀夫…。「騙る」ことを宿命づけられた小説家たちの「闘いの文学史」が、新発見とともに明らかになる。

目次

序となる文章 「巨大な事物の真実は現われにくい」(村上春樹)
第1部 闘いと迷宮と―新しい“村上春樹”の発見(ある闘いの文学史―志賀直哉・太宰治・三島由紀夫;太宰と三島という「二」の問題―『風の歌を聴け』;「三」という出口へ―『1973年のピンボール』)
第2部 世界分裂体験―村上春樹とその時代(「鏡の中」の異界の問題―『羊をめぐる冒険』;脳と意識の微妙な関係―『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』;「死=生」を描くリアリズム―『ノルウェイの森』を中心に)
第3部 世界を含む世界へ―『豊饒の海』から読む村上春樹(「『絶対の不可能』=可能」という主題―『春の雪』と『ノルウェイの森』;「幻でないものがほしい」―『ダンス・ダンス・ダンス』と『奔馬』)
終わりとなる文章 「(小説家は)理解したほうが負けなのである」(三島由紀夫)

著者等紹介

佐藤幹夫[サトウミキオ]
1953年秋田県生まれ。國學院大学文学部卒業。養護学校の教員時代からの問題意識とテーマに、フリージャーナリストとして活躍する一方、批評誌『樹が陣営』の主宰者として、思想・文学・心理学など幅広い分野にわたって発言を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とくけんちょ

55
へぇー、ふーんと思いながら読了。小説というのは読み手によって色んな読み方ができるものだ。あると思えば、ないものでも見えてくる。なにか方向性を決めて、物事を対比し深く考えてみることも楽しそうだ。ただ私は、小説は楽に読みたい。2020/06/05

いろは

23
読む人も、読まれる人も、読み込んでいる。村上春樹、三島由紀夫が本作品の大部分を占めているが、夏目漱石、志賀直哉、太宰治、三島由紀夫も始めの方で触れられているのが面白い。この作品を読んでいて一番に思ったのは、私はたぶん、もちろんこの作品においてもだが、著者のメッセージを受け取らずに読了してしまっているのではないかということだった。どんな作品においても、作品の中で繰り広げられている複雑な数式や方程式を、私はきっと解かずに読了してしまっているに違いないと思った。しかし、そうは思っても、やはり平面的に読むだろう。2018/11/09

ケイ

21
読み終えるために、沢山の三島と春樹の本を読んだ。該当している章に対する本を読んでからこちらを確認のために読んで進めていった。かなり強引に春樹の各小説に対する三島の小説を選択した気もしたが、前説とも言える闘いの文学史で描かれている、春樹から太宰、志賀、芥川、漱石に連なる歴史には舌を巻いた。「大作家と呼ばれている人達は地獄の一つや二つを抱え込んいる」。そして結びにある三島の言葉、「作家は理解した方が負けなのである」。理解力の過多は芸術家としての才能にどこかしら欠陥があると。大作家には見える地獄は恐ろしい2013/06/26

501

17
本書のような作家間の影響の分析はあまり興味がなかったりするが、三島由紀夫をはじめ、日本を代表する近代作家をあまりにも読んでいないと焦燥感のようなものを感じた。2017/10/21

佐島楓

12
個人的には、純粋に村上春樹さんの小説が好きという方にはおすすめできない本。 著者があらかじめ決めつけた構造の中に、春樹さんの小説をはめこんでしまっているからだ。 無理があるだろうと思うところもあるし、細かく分析なんてしなくても面白い本は面白い。私なんかはそう思うのだけれど、いかがだろうか。2011/04/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/506575
  • ご注意事項

最近チェックした商品