「哀しみ」を語りつぐ日本人

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  • サイズ B6判/ページ数 206p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784569629629
  • NDC分類 361.5
  • Cコード C0095

出版社内容情報

日本人が思い起こすべき「精神の形」を探る。

昔、「恋」は「孤悲」と書いた――そんなうんちくから日本的感情のルーツが見えてくる。日本文明論と日本語論の専門家が深く追究する。

長崎での少年による殺人事件を見るまでもなく、ここ10年ほど、子どもたちによる「感情の感じられない」犯罪が目立って報道されるようになってきた。少年だけではない。大人も、すぐにキレ、人から注意されたらすぐに殴る事件が多発している。

▼本書は、日本的感情とでも呼ぶべきものがいまどのように衰退しているか、そしてそれを取り戻すためにはどうすればいいのかについて考えた対論である。

▼齋藤氏は、「喜怒哀楽」に替わる新たな感情の分類方法として、「感情の三原色」(哀しみ・憧れ・張り)という考え方を提唱する。また、山折氏は、さまざまな文学作品や歌などから、ことに日本的と考えられる「哀しみ」に焦点を当て、そうした感情は文化のなかで模倣し、学習されていくものであることを明らかにしている。

▼「日本的感情のふるさと」を訪ねる作業を通じて、いま私たちが意識的に語りつぎ、受け継ぐべきことは何かが浮かび上がってくる一冊である。

●第1章 「日本的感情」とは何か 
●第2章 日本人の感情の“ふるさと” 
●第3章 日本人が思い起こすべき「精神の形」とは何か

内容説明

日本的感情とでも呼ぶべきものがいまどのように衰退しているか、そしてそれを取り戻すためにはどうすればいいのかについて考えた対論。日本に伝統的に強かったとされる感情のなかでも、とくに哀しみに焦点を当てている。

目次

第1章 「日本的感情」とは何か(日本人の感情表現が貧困化している;「日本的感情」を形づくるものは何か)
第2章 日本人の感情の“ふるさと”(感情の“ふるさと”は「季節感」にあり;感情の“ふるさと”は「精神世界」にあり;感情の“ふるさと”は「歌」にあり;感情の“ふるさと”は「リズム」にあり;感情の“ふるさと”は「身体感覚」にあり)
第3章 日本人が思い起こすべき「精神の形」とは何か(消えゆく「足腰」の文化;日本人にとって「型」とは何か;日本人の“心のふるさと”を取り戻すために)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

yumiha

36
夫の本棚から。悲しいを溜めて熟成発酵させた哀しみこそ、日本文化の源流とのこと。ストレートに言えない時は確かにある。本書で一番「目から鱗」だったのは、相撲についてだった。「相手を土俵の外に出せば勝ち」だと思ってきた私は、何度も何度も立ち合いを繰り返さないで、さっさと取組せんか~い!という心の声は毎度だった。でも山折哲雄氏は、「取組から滲み出てくる身体の型、あるいは精神の型を楽しみたい」と仰るのである。つまり長々とした立ち合いで、すでに駆け引きが始まっており、その場面を含めて相撲ファンは楽しんでいたのだ。2023/10/01

ありんこ

8
日本的感情について語り合い、現代人の「哀しみ」の感情が希薄になってきているという話へ。身体感覚を取り戻すような教育の必要性を説いていました。共感できる部分が多かったです。2011/05/03

いとぅー

2
感情の三原色…哀しみ(液体)・憧れ(気体)・張り(固体)2009/06/23

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