PHP新書<br> 脳死・臓器移植の本当の話

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PHP新書
脳死・臓器移植の本当の話

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  • サイズ 新書判/ページ数 424p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569626154
  • NDC分類 490.15
  • Cコード C0245

出版社内容情報

脳死者をめぐる長年の論争に終止符を打つ論考。

脳死者の臓器提供をめぐる問題に何があるのか? 「臓器移植法」改定を前に、長年の論争の焦点を整理する。生命倫理の本質をえぐった渾身の大作。

「脳死者は臓器摘出時に激痛を感じている可能性がある」「家族の呼びかけに反応することがある」「妊婦であれば出産できる」「19年間生き続けている者もいる」――1997年に「臓器移植法」が成立して以来、日本でも脳死・臓器移植は既成事実となった感が強い。ところが近年、脳死を人の死とする医学的な根本が大きく揺らいでいるのだ! 本書は脳死・臓器移植の問題点を、歴史的、科学的に徹底検証。報道されない真実を白日の下にさらし、「死」とは何か、「人間の尊厳」とは何かをあらためて問い直す。68年に行なわれた和田移植、99年の高知赤十字病院移植の綿密な比較検討から浮かび上がる衝撃の新事実に、読者の目は大きく見開かれることだろう。

▼読者の道案内役をつとめてくれるのはサン=テグジュペリ作「星の王子さま」。「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ」という言葉が問題を解くカギとなる。

●序章 「星の王子さま」のまなざし 
●第2章 脳死・臓器移植の「外がわ」 
●第3章 脳死神話からの解放 
●第4章 「脳死=精神の死」という俗説 
●第5章 植物状態の再考 
●第6章 脳死・臓器移植の歴史的現在 
●第7章 「臓器移植法」の改定問題 
●終章 旅の終わりに

内容説明

脳死者は臓器摘出時に激痛を感じている可能性がある。家族の呼びかけに反応することがある。妊婦であれば出産もできる。一九年間生き続けている者もいる―。一般には知られていない脳死・臓器移植の真実を白日の下にさらし、臓器提供者の側から、「死」とは何か、「人間の尊厳」とは何かをあらためて問い直す。一九九七年に「臓器移植法」が成立して以来、脳死・臓器移植は既成事実となった感が強いが、脳死を人の死とする医学的な根本が大きく揺らいでいるのだ。脳死・臓器移植問題に関する決定版。

目次

序章 「星の王子さま」のまなざし
第2章 脳死・臓器移植の「外がわ」
第3章 脳死神話からの解放
第4章 「脳死=精神の死」という俗説
第5章 植物状態の再考
第6章 脳死・臓器移植の歴史的現在
第7章 「臓器移植法」の改定問題
終章 旅の終わりに

著者等紹介

小松美彦[コマツヨシヒコ]
1955年、東京阿佐ヶ谷に生まれる。1989年、東京大学大学院理学系研究科・科学史科学基礎論博士課程単位取得。玉川大学文学部助教授などを経て、現在、東京海洋大学(東京水産大学と東京商船大学が2003年に統合)海洋科学部教授。専攻は、科学史・科学論、生命倫理学。現在の死生をめぐる問題を主に歴史的な視点から検討している
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

James Hayashi

35
東京海洋大教授、専攻は生命倫理学他、04年著。脳死判定の危うさや、脳死を人の死として認めていいのか疑問に思えてくる。不可逆的である脳死と判定されても数年生き続けた例が複数報告されていたり、ラザロ徴候なるもの(脳死後に四肢の伸縮運動。p97に写真)も見られる。米国では脳死後の移植時に血圧上昇を受け、モルヒネを打つこともままあるという。疑惑の和田移植、高知赤十字病院移植など不可解さが増す脳死。しかし離脱や臨死体験者は痛みを感じていないとも他書で見られる。法の整備ではカバーしきれていない脳死問題。2019/08/17

zoe

20
移植医たちトリガー。結構厚めの新書。最後の方に著者の言いたいことが詰まっている。要するに、原理原則があるでしょうと。なので、少し異なる政策Aと政策Bを議論したり、例え全く異なる政策を同時に議論させたときにも、一貫した価値があるでしょうと。人体を資源とするための政策は、移植法案とは同時に出されなかった。官僚が提出時期をコントロールし、国民が自覚無きまま議論を進めているとし、あながちうがった見方ではないと自分で言ってます。改めて読み返すと冒頭、自分の目で見て、心で感じて、考えることが大切であると始めています。2018/03/02

yukision

13
「植物状態」は「意識障害」ではなく「コミュニケーション障害」とする有力な学説の話は衝撃的だった。何もわかっていないと周りから思われている人が実は体の中に閉じ込められているだけで全て理解できているとしたら,どんなに恐ろしいだろう。脳死と判定された人が何年もその後生きて体も成長した例や,臓器摘出を断って治療を続け,社会復帰した人の例を知り,臓器移植は有効な治療であるという宣伝に比べ提供者への情報提供が少ないのではと感じた。2019/03/07

shimashimaon

7
海外ドナーからの角膜移植は保険適用にならず自由診療になることに疑問を抱く人の話を聞いて違和感を感じました。本書は2004年に執筆され脳死・臓器移植の拡大に向けた法改定に警鐘を鳴らすものです。そういう意味では古いですが、精緻な論理・哲学的論考と丁寧なルポルタージュはとても読み応えがあります。また「巧妙な支配」に取り込まれないようにと説く内容はむしろ今こそ読む価値があります。私の意思とは無関係にこの身体は今も生を維持しようとしている。このミクロコスモスは自分で作ったものではないので、私の自由にはできない。2022/08/07

lily

6
臓器移植反対論者による徹底的考察。「脳死者は意識もないし、何も考えられない」というのは科学的に全く解明されていない事象である(!)以上、私たちは脳死者を「意識がない」と考えるのではなく、「意識があるかどうかを判断できない」と考える方が論理的に正当だろう。脳死患者や植物状態の患者には利益がないと考えることは、傲慢で想像力を放棄した行為であるという著者の意見には、全面的に同意する。有識者の声をきくほど、脳死臓器移植には問題点が多すぎることに気付く。大切なのは理論武装をすることだ。再読の価値ある名著。2017/01/22

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