出版社内容情報
戦後の始まりを克明に綴った第一級の歴史論。
無条件降伏、マッカーサーの登場、占領政策、東京裁判、新憲法……卓越した歴史認識を持つ著者が「戦後」を分析した第一級の歴史論。
『小村寿太郎とその時代』『陸奥宗光とその時代』『幣原喜重郎とその時代』『重光・東郷とその時代』に続く、著者渾身の「外交官とその時代シリーズ」の完結編。1945年8月15日、日本はポツダム宣言を受諾し、降伏する。そしてマッカーサーがやってくる。その後の占領政策とはいかなるものだったか? 著者はいう、「無条件降伏とは勝者による敗者の完全制服であり、天皇制保全のため日本人はいかなる屈辱にも耐えた」と。本書は、占領期の3つの内閣(東久邇宮、幣原、吉田)とマッカーサーとのやりとりを縦軸に、公職追放、東京裁判、検閲、新憲法といった日本人の精神に重大な影響を及ぼした出来事を横軸に、「戦後日本」は誰がどのような思惑のもとにつくったのかを克明に分析したもの。明治の薩長史観、昭和の皇国史観、戦後の東京裁判史観、最近の自虐史観をすべて払拭しようという視点から書かれた公正な戦後史論でもある。
●第1章 敗者日本の扱い
●第2章 東久邇宮内閣とマッカーサー
●第3章 自由とデモクラシーの復活
●第4章 勝者の心理と論理
●第5章 幣原の苦悩
●第6章 吉田茂の登場
●第7章 第一次吉田内閣
●第8章 東京裁判(その一)
●第9章 東京裁判(その二)
●第10章 占領軍の絶対権力
●第11章 潮の変り目
●第12章 再軍備のパラドックス
●最終章 公正な日本近代史を阻むもの
内容説明
無条件降伏とは勝者による敗者の完全征服であり、天皇制保全のため日本人はいかなる屈辱にも耐えた。著者渾身の「外交官とその時代」シリーズ堂々の完結編!「戦後日本」は誰がどのようにつくったのか。
目次
敗者日本の扱い―無条件降伏とは勝者による敗者の完全征服であった
東久迩宮内閣とマッカーサー―天皇制保全のため日本人はいかなる屈辱にも耐えた
自由とデモクラシーの復活―幣原は日本人の手による再建と改革に情熱を傾けた
勝者の心理と論理―占領政策は日本徹底改革論と対ソ戦略論に分かれた
幣原の苦悩―一月二十四日、幣原はマッカーサーと何を話したのか
吉田茂の登場―主義、思想とは無縁の外交官が首相になるまで
第一次吉田内閣―食糧問題と農地改革に尽力し新憲法を公布するまで
東京裁判(「極東国際軍事裁判の判決は史上最悪の偽善です」(ウイロビー)
判決の歴史観に対して正面から反論した二人の識見)
占領軍の絶対権力―追放と言論統制が日本人の精神構造に深い傷を遺す
潮の変り目―敗戦直後「赤旗の海」だった日本が復興の道を歩むまで〔ほか〕
著者等紹介
岡崎久彦[オカザキヒサヒコ]
1930年大連生まれ。東京大学法学部在学中に外交官試験に合格し外務省に入省。1955年ケンブリッジ大学経済学部学士及び修士。在米日本大使館、在大韓民国大使館などを経て、1984年初代情報調査局長に就任する。その後も駐サウジアラビア大使、駐イエメン大使を務め、1988年より駐タイ大使。1992年退官。現在は岡崎研究所所長。著書に『隣の国で考えたこと』(中央公論社、日本エッセイストクラブ賞)、『国家と情報』(文芸春秋、サントリー学芸賞)など多数
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kizmy
夢仙人