出版社内容情報
「文明」がわからねば時代は見抜けない。
正義の戦争が叫ばれる今こそ、我々の底に流れる「森と美の文明」を見直そう。日本の進むべき道が鮮やかに浮かび上がる、時代の本質を抉る対論。
同時多発テロ、イラク戦争という過程の中で見えてきたものこそ、敵を作り、正義を主張しあう「力と闘争の文明」であった。人類も地球環境も悲劇の淵へと落とし込むかのごとき現代文明の論理。我々が、この一連の流れや、この文明に抱いている違和感が何に起因するものなのか、本書を読めば即座に理解できるだろう。
▼両著者渾身のエキサイティングな対論の中から浮かび上がるものは、我々日本人の底流に流れる、「森と水の文明」、「美と慈悲の文明」である。日本人は、森と水を守り、自然の美や人と人の間の慈悲の精神を尊重する文明を古来培ってきた。これは西欧や中近東、中国漢民族とは大きく異なるあり方である。この文明の本質が、梅棹忠夫の文明の生態史観からの刺激や、日本の稲作文明の源流とも目される長江~雲南省の文明との対比から、解き明かされてゆく。
▼日本の進むべき道を、大きな文明的見地から鮮やかに浮かび上がらせる一冊!
●第1章 「力の文明」の限界
●第2章 『文明の生態史観』からの刺激
●第3章 畑作牧畜民の文明と稲作漁撈民の文明
●第4章 日本と古代中国の稲作文明
●第5章 「森と美の文明」を世界に広める
内容説明
正義の戦争が叫ばれるこの時代にこそ我々の底に流れる「森と美の文明」を見直そう。
目次
第1章 「力の文明」の限界
第2章 『文明の生態史観』からの刺激
第3章 畑作牧畜民の文明と稲作漁撈民の文明
第4章 日本と古代中国の稲作文明
第5章 「森と美の文明」を世界に広める
エピローグ 二人の学問と京都学派
著者等紹介
川勝平太[カワカツヘイタ]
1948年、京都府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、同大学経済学研究科博士課程修了。オックスフォード大学哲学博士。早稲田大学教授を経て、現在、国際日本文化研究センター教授。国土審議会委員。専門は比較経済史。斬新な「文明の海洋史観」を提唱し、注目を集める。また、21世紀の日本文明にふさわしいビジョンとして「富国有徳」や、「庭園の島(ガーデンアイランズ)構想」を提唱している。主な著書に『富国有徳論』(中公文庫、アジア太平洋賞特別賞)、『文明の海洋史観』(中公叢書、読売論壇賞)などがある
安田喜憲[ヤスダヨシノリ]
1946年、三重県生まれ。東北大学大学院理学研究科博士課程退学。理学博士。広島大学総合科学部助手を経て、国際日本文化研究センター教授、京都大学大学院理学研究科教授(併任)、フンボルト大学客員教授。専門は環境考古学。中日文化賞受賞。文部科学省COE拠点形成プロジェクト「長江文明の探求」研究代表者。古代文明の盛衰と環境変動とのかかわりを世界的スケールから研究し、自然科学と人文科学の学際的研究に取り組んでいる
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