PHP新書<br> 「自己愛」と「依存」の精神分析―コフート心理学入門

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「自己愛」と「依存」の精神分析―コフート心理学入門

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  • サイズ 新書判/ページ数 215p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569621050
  • NDC分類 145.7
  • Cコード C0211

出版社内容情報

「認められたい」心のしくみを解きほぐす。

<自己愛>や<依存>は否定すべき感情か。むしろ受容することで心は治癒するのではないか。米国の精神科医・コフートの理論を易しく解説。

フロイト流の伝統的な精神分析では、<自己愛>や<依存>について否定的にとらえてきた。これらを脱却することが、自我の成長であるとするのだ。しかしコフートは、人間本来の自己愛や依存心はもっと認め合うべきだと唱えた。それは、お互いの「ギブ・アンド・テイク」が成立した時、より成熟した人間関係につながるのである。

▼本書は、現代精神分析に多大な影響を与えた、アメリカの精神科医コフートの自己心理学を紹介。

▼コフートはなぜ米国で支持されるのか。患者自身が高いお金を払って精神分析を受ける国では、結局、最も治療効果があり、心地良い精神療法に人気が集まるのである。その秘密を著者は丹念に分析する。コフート理論は、「エス」「超自我」といった抽象論を超えて、「共感」「自己対象」という分かり易い概念で解説しているのだ。心理学に無知な人間にとっても理解できる内容である。

▼臨床医である著者が、心病む現代人に最も相応しい治療理論を教える。

●第1章 コフートの生涯と自己心理学の誕生 
●第2章 自己愛と自己愛パーソナリティ障害 
●第3章 「共感の臨床家」としてのコフート 
●第4章 依存の心理学としてのコフート理論――自己対象とは何か 
●第5章 コフートの発達理論と治療理論

内容説明

フロイト流の伝統的な精神分析では、「自己愛」や「依存」を脱却することが、自我の発達であるとしてきた。しかしコフートは、人間本来の自己愛や依存心はもっとも認め合うべきものだという。それらを受け入れてこそ、お互いの「ギブ・アンド・テイク」が成立し、より成熟した人間関係が築けるのだと唱えた。本書は、現代精神分析に多大な影響を与えるコフートの自己心理学を紹介。「共感」「自己対象」などをキーワードに、臨床医である著者が、心病む現代人に最もふさわしい治療理論を教える。

目次

第1章 コフートの生涯と自己心理学の誕生(ベストスリーに入る著者・コフート;創設者としてのフロイトとコフートの違い ほか)
第2章 自己愛と自己愛パーソナリティ障害(身近なコフートの「自己愛」概念;「ナルシシズム」は新しい概念 ほか)
第3章 「共感の臨床家」としてのコフート(共感と同情;共感と同一化 ほか)
第4章 依存の心理学としてのコフート理論―自己対象とは何か(相手を「対象」と見るか「自己」と見るか;共感できる人、できない人 ほか)
第5章 コフートの発達理論と治療理論(精神分析の四つの側面;固着と退行 ほか)

著者等紹介

和田秀樹[ワダヒデキ]
1960年大阪生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在は精神科医。川崎幸病院精神科コンサルタント。一橋大学経済学部(現代経済学)、上智大学文学部(心理学科)などの非常勤講師を歴任。日本人として初めて自己心理学の年鑑「Progress in Self Psychology」に論文が掲載されるなど、本邦におけるコフート自己心理学研究の第一人者
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

非日常口

29
コフートの話にはSNSという視点が(時代の違いから)欠けている。イイねなどポジティブな反応を強要するシステムがあるSNSで、「多少の」脚色を加え「自分が〇〇と言われた」と被害者的内容を書くと、それが事実か確認もせず「あなたを支持する」など都合のイイ反応が出る。現実で話す人は無視しネットしか見なくなる人がいる。上辺のフォローの母数を増やせる現代、彼らの過剰な自己保身は暴力となりえる。本書には医者でない人のためのパーソナリティ障害者との距離感や、今後の付き合い方どうするかを考えるヒントになる。2016/03/01

KAKAPO

28
齋藤環先生の『生き延びるためのラカン』を読み始めた時、そう言えば、佐藤優氏の『嫉妬と自己愛』に収録された対談で、齋藤先生が「自己愛を徹底的に軽蔑したラカンに対して、コフートは“人間は自己愛がないと生きてはいけないのだ”と唱えた」と仰っていた。齋藤先生の本を読み進めるに当たって、コフートについても知っておいた方が良いかもしれない、と、2005年に読了した、この本を引っ張り出しきた。アドラー心理学などに出会った後で読むと、12年前に読んだ時よりも、コフートの治療者としてのスタンスが、理解できるような気がする。2017/04/03

黒頭巾ちゃん

19
治療や自立ではなく、心を健康にする心理学です。なので、健康であるなら誰かに依存したり、タバコを吸ってもよいのです。健康になるとは、甘えができる人です。愚痴る場面が少なくなっているので出来なくなってきているのが現状です。自己愛を満たすことができなくなってます。自己がある人です。なので、イヤなことを押し付けられても少し自己主張できるのです。自己対象が必要ともしてます。前作よりも少し学問的要素が多いです。2016/05/24

Kent Kaseda

13
コフート心理学のキーポイントは二つ。一つ目は、自己愛と相互依存を肯定している点。フロイト心理学は自己愛を否定し、患者の自立を目的とする。一方、コフート心理学は健全な自己愛を肯定し、人間は一人では生きられないと相互依存を必要なものとみなす。フロイト心理学は天才・強者の理想であるのに対し、コフート心理学は凡人・弱者が生き抜くための知恵といえる。二つ目は、主観的な体験や他者への共感を重視する点。共感を通じて患者の主観的な感情を理解すると同時に、信頼を深めるコフートの理論は、現実の治療や人間関係に即している。2017/08/07

アイロニカ

6
相手の心の「自己」を観察する「共感」を通じてニーズを予測し、健全な形で依存される「自己対象」となることで治療を進める精神分析、コフートの「自己心理学」について書かれた本である。依存を重視しているだけに回避型愛着スタイルの人間は度外視されている印象。相手の心の内を自分なりにも想像して行動に反映させる社会的な重要性を改めて諭された気分だ。他方の恋愛論において依存が危険視されるのは適切な境界設定ができないからなのだろうなと推察する。でも先生だから禁欲原則でセックスできないってシチュは逆に興奮しませんかね…?2020/05/14

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