出版社内容情報
「日本人の精神」とはかけ離れた、その実像。
「武士道とは死ぬことと見つけたり」の真の意味とは? 「死の哲学」とはほど遠い「老人のたわ言」に過ぎなかった『葉隠』の実像に迫る。
「武士道と云は死ぬ事と見付たり」――あるべき武士道を説いた「死狂ひ」の書として、高く評価されてきた『葉隠』。だが泰平社会を無難に世渡りした著者・常朝に「死の哲学」などあったのか。
▼佐賀藩・鍋島家の<豪気な家風>とは対照的に、勇ましいだけの言葉で飾られた常朝の思想。それは生き抜くための思考を放棄した、老人の「たわ言」に過ぎなかった。本書は、その「机上の空論」を暴き、正体を明らかにする。
▼武士は人から軽んじられた場合、幕府の法に背き、自分の命を懸けてまで名誉を守ることを要求された。そのような本物の武士(曲者)たちの姿を描き、「武士の心性」とは何かに迫る。
▼誤解され続けた「葉隠武士道」に新たな見地を拓く一冊。
▼主な内容――戦国武将・鍋島直茂/慈愛に満ちた二代藩主・鍋島光茂/武士らしさとはなにか/死への渇望/『葉隠』の女性たち/赤穂事件と武士の「一分」/武士道は死ねばよいのか/処世術としての『葉隠』/など。
[第1部]鍋島家の家風
[第2部]武士を取り巻く世界
[第3部]『葉隠』の「思想」
内容説明
武士道と云は死ぬ事と見付たり―あるべき武士道を説いた「死狂ひ」の書として高く評価されてきた『葉隠』。だが泰平社会を無難に世渡りした著者・常朝に「死の哲学」などあったのか。佐賀藩・鍋島家の「豪気な家風」とは対照的に、勇ましいだけの言葉で飾られた常朝の思想。それは生き抜くための思考を放棄した、老人の「たわ言」に過ぎなかった。本書では、その「机上の空論」を明らかにするとともに、名誉に命を懸けた本物の武士(曲者)の姿に迫る。誤解され続けた「葉隠武士道」に新たな見地を拓く一冊。
目次
第1部 鍋島家の家風(竜造寺家から鍋島家へ;戦国武将・鍋島直茂;初代藩主・鍋島勝茂;世子・鍋島忠直の夭折;慈愛に満ちた二代藩主・鍋島光茂)
第2部 武士を取り巻く世界(武士らしさとはなにか;死への渇望;『葉隠』の女性たち;すくたれ者を嫌う藩主;赤穂事件と武士の「一分」):第3部 『葉隠』の「思想」(「主君への没我的奉公」の正体;常朝における諫言の姿勢;武士道は死ねばよいのか;処世術としての『葉隠』)
著者等紹介
山本博文[ヤマモトヒロフミ]
1957年、岡山県生まれ。東京大学文学部卒業。1982年、同大学大学院修了。現在、東京大学史料編纂所教授、文学博士。1992年、『江戸お留守居役の日記』(読売新聞社)で第40回日本エッセイスト・クラブ賞受賞
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