出版社内容情報
神から授けられた言葉の哲学的意味を探る。
人間だけが言葉を有し、それ故に我々は精神を高めることができる――この認識の元、詩歌や聖書に秘められた言語の力の不思議を問う!
今回のエンゼル叢書のテーマは、“言葉の本質”を学術的に追究している。言葉は私たちの日常に、コミュニケーションや情報の伝達手段としてごく普通に存在しているが、単にそれだけのものなのだろうか。人間が発している以上、そこにはメッセージ性や普遍的な力を持つ精神が宿っていることに注目したい。それを立証するために、第一部では「詩歌」を、そして第二部では「聖書」を紹介している。なぜこれらの言葉は、今でも脈々と語り継がれ、そして人の心を打つのか。それはその言葉の内に言霊とでもいうべき魂が宿っており、時空を超えてもその芳醇な調べは衰えない。聞く者によって、それはまぎれもなく神の啓示であり、あたかも神と自分とが対話しているかのように感じられるからである。そして第三部では、この本質に目を向け、言葉に「価値」を見出し、心豊かな生活とはいったい何かを考える。しみじみと味わい深く「言葉」の意義を自分に問いかける好著。
[第1部]詩歌の言葉――なぜ時代を超えて人の心を打つのか
●詩の不滅性
●言語の普遍的力
●言霊の世界
[第2部]聖書の言葉――形而上の真理を伝えるために
●神の言葉と沈黙
●人間の言葉・神の言葉
●聖書の言葉と日本語表現
[第3部]現代における「言葉の復権」の意味――「失われゆく精神の芳醇さ」を求めて
●岡野弘彦先生による講話ノート
●「言葉を育むこと」の価値について
●言葉が人間らしさをつくりあげる
内容説明
耳を澄ませば、聴こえてくる!人は心が内側に向かう時、もう一つの声を聴く/言葉は調べをもった時、魂が宿る/詩人は天空から吹き込まれた言葉を口ずさむ/神は人間の言葉を通して語りかける…など、エンゼル・フォーラムで縦横無尽に語られた「人間と言葉の本質」の数々。読み応えのある一冊。
目次
第1部 詩歌の言葉―なぜ時代を超えて人の心を打つのか(詩の不滅性―今なお輝き続けるシェイクスピアのソネットが伝えるもの;言語の普遍的力―ゲルマン系語の詩にみる;言霊の世界―『古事記』と和歌にみる言葉の大いなる力;〈シンポジウム〉「詩人の言葉と人間の精神の豊かさ」)
第2部 聖書の言葉―形而上の真理を伝えるために(神の言葉と沈黙―西欧文化と日本文化を比較して;人間の言葉・神の言葉―「聖書言語」の真なる理解に向けて;聖書の言葉と日本語表現―翻訳の意味を尋ねて;〈シンポジウム〉聖なる言葉の本質について)
第3部 現代における「言葉の復権」の意味―「失われゆく精神の芳醇さ」を求めて(岡野弘彦先生による講話ノート―日本人の心と言葉の原郷;「言葉を育むこと」の価値について―「人生の糧」を培い、実りある日々にするために;言葉が人間らしさをつくりあげる―人間性の本質と言語の力)
著者等紹介
渡部昇一[ワタナベショウイチ]
昭和5年、山形県鶴岡市生まれ。上智大学大学院修士課程修了。ドイツ、イギリスに留学後、母校で教鞭をとるかたわら、アメリカ各地で講義。上智大学教授を経て、現在、上智大学名誉教授。Dr.Phil.,Dr.Phil.h.c.専門の英語学だけでなく、歴史、哲学、人生論など執筆ジャンルは幅広い
ヤンコウスキー,クルト・R.[ヤンコウスキー,クルトR.][Jankowsky,Kurt Robert]
1928年、旧東プロシア生まれ。ミュンスター大学にてカール・シュナイダー博士に師事。比較文学、比較言語学でDr.phil.取得。現在、ジョージタウン大学教授。専門は、言語学史(19世紀ドイツ言語学)、史的比較言語学、ゲルマン言語学、言語哲学。専門分野における優れた業績のほか、米独間の文化交流の橋渡しも務める
岡野弘彦[オカノヒロヒコ]
大正十三年、三重県生まれ。国学院大学卒業。在学中より折口信夫(釈迢空)の家に同居して没年まで師事。国学院大学名誉教授、歌人。日本芸術院会員。昭和54年より、宮中歌会始選者を務める。国学院大学栃木短期大学学長
ミルワード,ピーター[ミルワード,ピーター][Milward,Peter]
1925年、イギリス生まれ。オックスフォード大学卒業。イエズス会の会員として、1954年に来日。1962年より上智大学で教鞭をとる。1960年よりカトリック司祭となる。現在、上智大学名誉教授
稲垣良典[イナガキリョウスケ]
昭和3年、佐賀県生まれ。東京大学卒業、アメリカ・カトリック大学大学院博士課程修了。Ph.D.,文学博士(東京大学)。ハーバード大学、ボン大学、ミュンヘン大学、プリンストン高等研究所において研究。南山大学、九州大学、福岡女学院大学教授を経て、現在、長崎純心大学教授、九州大学名誉教授
土居健郎[ドイタケオ]
大正9年、東京生まれ。東京大学医学部卒業、米国メニンガー精神医学校、サンフランシスコ精神分析協会に留学後、聖路加国際病院精神科医長。その間、米国国立精神衛生研究所に招聘。その後、東京大学医学部教授、国際基督教大学教授、国立精神衛生研究所所長を経て、現在、聖路加国際病院(顧問)。医学博士
松田義幸[マツダヨシユキ]
昭和14年、山形県鶴岡市生まれ。東京教育大学卒業。日経広告研究所研究員、余暇開発センター研究主幹、筑波大学助教授を経て、現在、実践女子大学教授
須賀由紀子[スガユキコ]
昭和38年、大阪府生まれ。津田塾大学学芸学部国際関係学科、筑波大学大学院修士課程修了。現在、エンゼル財団主任研究員
江藤裕之[エトウヒロユキ]
昭和38年、福岡県生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業。同大学院にて社会学、英語学の修士を取得後、ジョージタウン大学に留学、Ph.D.取得。現在、長野県看護大学専任講師、清風英語学研究所所長
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感想・レビュー
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