出版社内容情報
財政赤字が増加するなか、日本のこれまでの公共投資の非効率の程度を6つの視点から定量的に分析し、効率性の重要さを説いていく。
田中長野県知事の「脱ダム宣言」、地元漁連を巻き込んだ諫早湾干拓事業の迷走など、公共事業の存在意義に対し、疑問の声が上がり始めている。これら一連の公共事業批判の根底には、事業の意図や効果、その帰結等が国民に十分知らされていないこと、すなわち「公的説明責任」を担保するための仕組みが、日本の政策形成プロセスに欠落していることがあると考えられる。
▼欧米先進国では、「ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)」と呼ばれる民間経営に習った政府運営の新理論に基づき、公共投資の「政策評価」が実践され、事業のムダを省き、国民と政策当局との応答性を高める努力が重ねられている。
▼本書は、NPM理論における政策評価の考え方をベースに、日本の公共投資の何がどの程度問題なのかを、定量的かつ客観的に検証・評価したものである。一連の分析をもとに、公的説明責任の欠如がいかに非効率な公共事業を生み出しているかが解明される。
●第1章 公的基本形成と「ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)
●第2章 建築工事の官民コスト比較
●第3章 公的資本の生産力効果
●第4章 道路投資の費用―便益分析
●第5章 分野別公共投資の厚生効果
●第6章 財源調達と公共投資
●結び 公的資本形成の評価と今後の展望
●補論1 発生主義バランスシート作成に向けた具体的な取り組み
●補論2 個別項目の推進方法
内容説明
公共投資の何が、なぜ、どの程度問題か?ニュー・パブリック・マネジメント理論に基づいて、公的支出の効果を定量的かつ多角的に計測・分析した意欲作。
目次
第1章 公的資本形成と「ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)」
第2章 建築工事の官民コスト比較―マイクロ・データを用いたコスト分析
第3章 公的資本の生産力効果―都道府県パネルデータを用いたアウトプット評価
第4章 道路投資の費用―便益分析―多基準アプローチによるアウトカム評価
第5章 分野別公共投資の厚生効果―ヘドニック・アプローチによるウェルフェア評価
第6章 財源調達と公共投資―バランスシートによる財務評価
結び 公的資本形成の評価と今後の展望
補論1 発生主義バランスシート作成に向けた具体的な取り組み
補論2 個別項目の推計方法
著者等紹介
田中宏樹[タナカヒロキ]
1967年京都府生まれ。’90年同志社大学経済学部卒業。同年PHP総合研究所入所。’98年大阪大学大学院国際公共政策研究科にて修士(国際公共政策)取得。2000年同大学院にて博士(国際公共政策)取得。現在、PHP総合研究所国家経営研究部主任研究員。専門は公共経済学、政策評論家
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