出版社内容情報
唯一動かせる右手で綴った、脳性麻痺の作家・日比氏と師との心の「対話」。生と死の意味、障害者としての生き様、言葉の力等のテーマを語り尽くす。 著者の一人、日比工氏は脳性麻痺を抱え、40数年生きてきた。言葉を発することができず、体も一部分を除いては自由に動かすことができない。その人間が、唯一動かすことができる「右手」でキーボードを叩き、書簡を綴った。それに応じた、師である哲学者の梅原猛氏との往復書簡を纏めたのが本書である。 日比氏は幼いころから、モーツァルトとベートーベンの音楽を聞き、小林秀雄やニーチェなどの思想性の高い書物に親しんできた。そのような環境の中で、「生と死の意味」「肉体の発する言葉の力」「美しき言葉の音色」などのテーマの思考を重ね、梅原氏と20年近くにわたり哲学的対話を続けてきた。本書ではその蓄積がいかんなく表現され、「生きることの意味」が深く追求されている。また、著者両人の綴った言葉は「詩的な美しさ」を響かせ、読むものに大きな感動を与えるのである。 多くの苦悩を抱え迷える日本人に贈る、異色の哲学的対話集である。 [プロローグ]脳性麻痺の教え子との「対話」 ●人生、初めに言葉在りき ●実感しての「死」 ●肉体が発する言葉 ●人間中心文明への批判 ●美しき言葉の音色 ●「詩」という神の世界 ●美しい声の青春
内容説明
「言葉は美しい」。わずかに動くことを許された右の手は書く。脳性麻痺の作家は、いかにして言葉を獲得したか?哲学者・梅原猛との心の「対話」。
目次
プロローグ 脳性麻痺の教え子との「対話」(梅原猛)
1 人生、初めに言葉在りき(日比工)
2 実感としての「死」(梅原猛)
3 肉体が発する言葉(日比工)
4 人間中心文明への批判(梅原猛)
5 美しき言葉の音色(日比工)
6 「詩」という神の世界(梅原猛)
美しい声の青春(日比工)