出版社内容情報
日本の最後の命運を賭けて沖縄特攻に挑んだ伊藤だったが、ついに力尽き、戦艦大和と共に海に消えた。大義に殉じた悲劇の勇将の生涯。 不況真っ只中の日本。80年代にはバブルを謳歌し、世界第二の経済大国に君臨した日本が、まるで坂道を転げ落ちるようにマイナス成長に沈没するとは誰が予想しただろうか。時は遡って太平洋戦争末期。日本が世界に誇る巨大戦艦「大和」が完成。“不沈戦艦”と呼ばれた大和はしかし、アメリカ軍の猛攻の前に、南海の海中へと消え去った。「負けるはずのない日本の転落」??この二つの出来事には、何か構造的な問題があるのではないか。本書の問題意識もまさにそこにある。伊藤整一という一人の提督の生涯を追ってはいるが、そこから浮かび上がってくるのは海軍首脳部の判断ミスと官僚主義である。伊藤長官はそんな組織の犠牲者であった。そして日本の国そのもの。 しかし伊藤長官は逃げなかった。あえて特攻のさきがけを引き受けたのである。伊藤長官の真意とは何だったのか? 大和の乗員たちは何を感じていたのか。この平成に問う問題作である。
内容説明
不沈戦艦はなぜ沈んだのか。日米開戦に反対しながらも、一億総特攻のさきがけとならざるを得ない悲劇。しかし、伊藤長官は毅然として戦艦「大和」と運命を共にする道を選んだ。あえて特攻を引き受けた伊藤長官の真意とは何だったのか。大和の乗組員たちは何を感じていたのか。著者渾身の長編小説。