出版社内容情報
明治維新から、日清・日露戦争を経て世界の頂点にたどり着いた日本。その外交を一手に担った外交官の生涯を辿り、近代日本を考え直す。 300年に及ぶ鎖国の後、明治維新を経て帝国主義列強の世界に踏み込んでいった日本。この日本を餌食にしようと狙う欧米各国に立ち向かい、国家存立の危機に対しては追いつめられながらもギリギリの選択を奇跡的に下していったのが明治という時代であった。日英同盟、日露戦争、ポーツマス条約の締結、韓国併合……国家の死活を左右する外交の第一線で活躍した一人の外交官・小村寿太郎の生涯を通して、明治維新から明治の終わりまでの45年間の日本の軌跡と近代への苦悩を描き出していく。 目次より●貧交行 ●水を得た魚 ●瓦解する清帝国 ●議会民主主義への執念 ●ロシアの東方進出 ●ロシアの満州占領 ●日英同盟 ●日露戦争 ●日本民族の興隆期 ●死闘 ●世界史の分岐点 ●ポーツマス条約 ●韓国併合 ●明治の終わり。 明治維新から、日清・日露戦争を経て世界の一等国を目指した明治日本の気概とは何か? 興隆期日本の歩みを描き出した著者渾身の力作である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
18
元外交官であり昨年亡くなられた岡崎久彦氏の筆による小村寿太郎。もう少し外交の様子が描かれていると思っていたが、実際は日露戦争の有り様がメイン。太平洋戦争と同じように勝てないと思われた戦争であったが、見事に勝利を導いた当時の方々は本当に凄い。勝因は運もあるが、情報分析の違いがある。このような作品を読むと日本人としての誇りを感じるが、外交の重要さもヒシヒシ感じた。吉村昭氏の「ポーツマスの旗」を読みたくなった。2015/08/07
YMTrade2
1
日清、日露戦争を含む諸外国との交渉の際にことごとく白羽の矢が立った小村寿太郎とその時代の考察本。正しい史実に沿い、それぞれにより詳細な考察と検証を入れている名著と思う。小村氏の功罪と称し、良い点と結果的に失敗であったと思われる両方を述べるのは、中立性を保っていると読める。本書でもある通り、列強との交渉は薩長出身でないにも関わらず、小村氏しかいないと全会一致するところに、争乱期に現れる天才、奇人を見る。加え、外務省出身の著者による周辺国との関係性を鋭く見る視点、現代にはない切れ味である。2020/05/06
としし
0
いろいろ、間に他の本を読んでて読了に時間がかかってしまった。 結論は、相当面白い。言ってみれば地味な本で、淡々と日本の近代史を綴っている。前巻の「陸奥宗光」ではタイトル通り陸奥が中心だったが、この本では日清戦争や日露戦争に関わる多くの人々に言及していて、寿太郎の話が多いという程度である。 小学生や中学生に読み易いようにルビが振ってあるのは前巻と同様で、好感が持てる。 あとがきに「アングロサクソン以外の史観があることを知らない人が多すぎる。この本の英語版ではその流れに一石を投じたい」とある。素晴らしい2017/01/12
フンフン
0
小村寿太郎のすぐれた評伝。ありきたりの勧善懲悪歴史観とは一線を画し、小村寿太郎が行なったこととそれがその後の日本にどのような影響を及ぼしたかを客観的に叙述。2015/01/19
カ
0
明治の人は凄かった。2011/11/29