出版社内容情報
室町時代の終わり頃、戦と飢饉のため人の心はすさんでいた。八郎太の吹く笛の音は、やさしく澄んで人々の心に響き渡るが……。“絵巻物”を感じさせる画風の絵本。
内容説明
これは、むかし国じゅうが、いくさにあけくれていた、六百年ぐらい前のお話。とうじの村や都や人びとのすがたを絵巻物語ふうに再現した傑作絵本。4~5歳から。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
9
今から六百年ほど前、国中が戦に明け暮れていた頃の話。ひもじい思いをしていた八郎太は、ご飯をいただけたお礼に笛を吹いて喜ばれるが、それが原因で村にいられなくなる。都へいってもひもじいばかりだが、ある日立派な屋敷の人に呼び止められる。中には医者に見放された老親と美しく若い娘。八郎太の笛の音を聞いて心が洗われていく老人…。老人は亡くなり、八郎太は娘と結婚するが老人がおかした過去のため屋敷を追い出される…。2019/09/23
遠い日
8
どんな境遇も、一本の笛と共に歩んだ八郎太の人生。笛に導かれるように、運命が開けた時も、くだり坂の時も、八郎太はそれに驕らず、それを恨まず、受け入れてきた。巨万の富より家族とのささやかな暮らしこそが幸せ。後味のいいお話です。2018/09/17