出版社内容情報
世界の頂点に立った近代日本の外交を考える。
明治維新から日清・日露戦争を経て世界の頂点にたどり着いた日本。その間の外交を一手に担った外交官の生涯を通して近代日本を考える。
明治維新から日清・日露戦争を経て、「世界の一等国」の仲間入りを果たした日本。イギリスとの条約改正を成功させ、三国干渉を素早く収拾するなど、近代日本の外交の礎を創り上げたのが陸奥宗光ならば、日本の存在をさらに押し上げたのは、陸奥宗光に見出された、この小村寿太郎であるといってよいであろう。
▼英米の力を背景にロシアに対抗し、その後、日本独自の大陸進出を目指した小村であったが……。小村が負わされた外交は、必ずしも順風の中での外交ではなかったのである。本書は、興隆期日本の命運を背負った小村の生涯と日本の近代化の過程を、あくまで客観的に描いた、力作評伝であり、近代史の研究書でもある。
▼小村がこの世を去ったのは明治44年11月のこと。翌年、明治天皇は崩御し大正時代を迎える。明治日本の外交を担った男に運命的な何かを感じるのは、著者だけではないだろう。
▼著者のライフワーク「外交官とその時代」シリーズの第二弾。
●第1章 貧交行
●第2章 水を得た魚
●第3章 瓦解する清帝国
●第4章 議会民主主義への執念
●第5章 ロシアの東方進出
●第6章 ロシアの満洲占領
●第7章 日英同盟
●第8章 日露開戦
●第9章 日本民族の興隆期
●第10章 死闘
●第11章 世界史の分岐点
●第12章 ポーツマス条約
●第13章 韓国併合
●終章 明治の終り
内容説明
明治維新から日清・日露戦争を経て、世界の頂点に躍り出た日本。陸奥宗光に見出され、桂太郎内閣では外相として、その外交を一手に担った小村寿太郎は、英米の力を背景にロシアに対抗し、その後日本独自の大陸発展を目指したが…。本書は、興隆期日本の命運を背負った小村寿太郎の生涯とともに、日本近代化の歴史を描く力作評伝である。好評シリーズ「外交官とその時代」の文庫化第二弾。
目次
貧交行―貧乏を忘れ国事ばかり考えていた国粋主義者の信念
水を得た魚―小村は時代が要請する「狂者」であり「〓(けん)者」であった
瓦解する清帝国―アジア最後の帝国は欧米列強になすすべなく屈した
議会民主主義への執念―自由民権運動の燈を絶やさなかった男・星亨の生涯
ロシアの東方進出―暴力と懐柔によって既成事実を重ねるロシアの手法
ロシアの満洲占領―ロシアの意図を考えればいずれ戦争は避けられない
日英同盟―小村の意見書が英か露かの選択に決着をつける
日露開戦―その背景には日本の弱点を補う「日英同盟」があった
日本民族の興隆期―日本人の愛国心に世界は驚嘆した
死闘―旅順港攻略戦は日露戦争の最も悲痛な叙事詩だった
世界史の分岐点―日本海海戦は奇蹟の大勝利
ポーツマス条約―ローズヴェルトの説得にも小村は譲る気がなかった
韓国併合―他に選択肢はあったのだろうか
明治の終り
著者等紹介
岡崎久彦[オカザキヒサヒコ]
1930年大連生まれ。東京大学法学部在学中に外交官試験に合格し外務省に入省。1955年ケンブリッジ大学経済学部学士及び修士。在米日本大使館、在大韓民国大使館などを経て、1984年初代情報調査局長に就任する。その後も駐サウジアラビア大使、駐イエメン大使を務め、1988年より駐タイ大使。1992年退官。現在は岡崎研究所所長。著書に『隣の国で考えたこと』(中央公論社、日本エッセイストクラブ賞)、『国家と情報』(文芸春秋、サントリー学芸賞)、など多数
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