出版社内容情報
明治日本の生存と尊厳を守り抜いた男の生涯。
若き日の坂本竜馬らとの交流から、欧米留学後に外務省に入省し、明治日本の生存と尊厳に命を賭した外交官の波乱の生涯を描く力作評伝。
著者には、すでに『陸奥宗光(上下)』(PHP文庫)という著作がある。これは、陸奥宗光の一生を描いた長編評伝である。その著者が、なぜ再び陸奥宗光を素材に、『陸奥宗光とその時代』と銘打ち本書を著したのか。その意図は、まさに「その時代」の4文字を付したところにある。
▼つまり、英国との条約改正を成功させ、三国干渉を素早く収拾した陸奥宗光という、明治日本の生存と尊厳を守り抜いた外交官の波乱の生涯をとおして、日本における近代とは如何なる意味を持っているのかについて、客観的な論考を試みようとした点である。
▼この試みにこそ、元駐タイ大使であり、外交史の研究家としての、なみなみならぬ意欲がうかがわれるのである。
▼本書は、小村寿太郎、幣原喜重郎、重光・東郷、吉田茂と続く、「外交官とその時代」シリーズ全5部作の第一弾である。外交史、近現代史の研究者はもちろん、明治以降の日本の歩みを考えるうえで恰好の読み物である。
●第1章 父と子
●第2章 自得翁
●第3章 明治維新
●第4章 鵬翼折る
●第5章 冬の鶯
●第6章 蛍雪の功 再び
●第7章 蛍雪の功 三たび
●第8章 日本のデモクラシー
●第9章 日本の憲政
●第10章 議会民主主義の最初の挫折
●第11章 条約改正問題
●第12章 朝鮮半島における日清の角逐
●第13章 東学党の乱
●第14章 開戦へ
●第15章 開戦外交
●第16章 豊島沖の海戦
●第17章 日本軍の快勝
●第18章 戦争の終局
●第19章 三国干渉 その一
●第20章 三国干渉 その二
●最終章 陸奥の死
内容説明
不平等条約の改正、日清戦争と下関条約、そして三国干渉…。激動の時代にあって日本の命運を担い、日本近代外交の礎を築いた陸奥宗光。本書は、一家流浪、坂本龍馬との出会い等を経て、第二次伊藤内閣の外相となり、英国との条約改正を成功させ、三国干渉を素早く収拾するなど、見事な外交手腕を発揮し、明治日本の生存と尊厳を守り抜いた外交官の波乱の生涯を公正・客観的に綴った力作評伝である。
目次
父と子―爛熟する十八世紀文化
自得翁―江戸時代エリートの思想的遍歴
明治維新―革命と硝煙の時代へ
鵬翼折る―プロシア的軍事国家の出現
冬の鴬―土佐のいごっそうに振りまわされる
蛍雪の功再び―獄中の勉強三昧
蛍雪の功三たび―プロシア的憲法でよいのだろうか?
日本のデモクラシー―近代国家への模索
日本の憲政―世界に誇るサムライ・デモクラシー
議会民主主義の最初の挫折―暴力的な大選挙干渉〔ほか〕
著者等紹介
岡崎久彦[オカザキヒサヒコ]
1930年大連生まれ。東京大学法学部在学中に外交官試験に合格し外務省に入省。1955年ケンブリッジ大学経済学部学士及び修士。在米日本大使館、在大韓民国大使館などを経て、1984年初代情報調査局長に就任する。その後も駐サウジアラビア大使、駐イエメン大使を務め、1988年より駐タイ大使。1992年退官。現在は岡崎研究所所長。著書に『隣の国で考えたこと』(中央公論社、日本エッセイストクラブ賞)、『国家と情報』(文芸春秋、サントリー学芸賞)など多数
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感想・レビュー
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日の光と暁の藍
バルジ
junkoda
Maeda Reiji
muko1610