出版社内容情報
奇襲やテロの目的と、その危機管理を考える。
記憶に新しい9.11のテロはなぜ起きたのか。「全ての戦争は奇襲から始まる」意味を過去の例を検証しつつ、危機管理と平和を考える。
2001年9月11日、世界中を震撼させた「同時多発テロ」が起きた。貿易センタービルが瓦解する惨状を伝えた映像は、悪夢のように、今もわれわれの眼に焼き付いている。
▼貿易センタービルは10年前にも爆破テロの標的になった。アメリカは同じビルに、2度にわたってテロという「奇襲」に見舞われたことになる。なぜ、アメリカはこれらの「奇襲」を予見し、回避することができなかったのだろうか。
▼著者によれば、真珠湾攻撃しかり、「奇襲は必ず成功するものだ」という。本書では最近の3つの「奇襲」の実例を加えた12例を通して、そのカラクリと予見不能の危機への対処策を考察している。目的は国際問題を武力によって解決するためではもちろんない。世界の平和と繁栄を脅かす「奇襲」の本質を知り、いかにすれば卑劣な攻撃を避けられるかを考察したものである。核開発を再開した北朝鮮。不穏な空気が漂う今、必読の一冊である。
▼『奇襲の研究』を改題。
●日本軍パールハーバー攻撃
●ソ連軍満洲侵入
●ドイツ軍仏マジノ線突破フォール・ゲルブ作戦
●ドイツ軍対侵攻バルバロッサ作戦
●連合軍ノルマンディーノ上陸オーバーロード作戦
●六日戦争におけるイスラエル軍 ほか
内容説明
2001年9月11日、アメリカ経済の象徴ともいうべき貿易センタービルが脆くも崩壊した映像はまだ記憶に新しい。アメリカといわず全世界に奇襲の恐ろしさを再認識させる事件だった。著者は言う、奇襲は必ず成功し、すべての戦争は奇襲から始まると。本書は、真珠湾攻撃など、過去における奇襲の事例を通し、そのカラクリと予測不能の危機への対処を考察するものである。
目次
日本軍パールハーバー攻撃(一九四一年十二月八日)―人間の本質が奇襲を招く
ソ連軍満州侵入(一九四五年八月九日)―法的義務は無視・逆用される
ドイツ軍仏マジノ線突破フォール・ゲルブ作戦(一九四〇年五月十日)―考えられないことが行なわれる
ドイツ軍対ソ侵攻バルバロッサ作戦(一九四一年六月二十二日)―自らの錯覚・幻想に騙される
連合軍ノルマンディー上陸オーバーロード作戦(一九四四年六月六日)―戦略的・戦術的に情報は操作される
六日戦争におけるイスラエル軍(一九六七年六月五日)―あらゆるレベルで撹乱される
ヨムキプル戦争におけるアラブ軍(一九七三年十月六日)―不可能事が可能とされる
ソ連軍チェコスロバキア侵攻(一九六八年八月二十日)―敵も味方も欺瞞される
ニクソンの対中ショック外交(一九七一年七月十五日)―平時でも奇襲はある
米中枢同時テロ(二〇〇一年九月十一日)―力信奉の油断が真実を曲げる
北朝鮮軍38度線越え南進開始(一九五〇年六月二十五日)―シグナルの出し違いが相手を誘う
イラク軍クウェート軍事侵攻(一九九〇年八月二日)―不用意な発言が引金を引く
情報と戦略の読み方―なぜ奇襲は避けられないのか
著者等紹介
岩島久夫[イワシマヒサオ]
1926年朝鮮京城府(現ソウル)生れ。本籍地岐阜県。海兵卒(74期)、東京大学法学部政治学科(旧制)卒、同大学院(旧制)にてアメリカ政治史を修める。1966年より20年余り防衛研究所所員としてアメリカ国防・軍事政策、国際安全保障、軍備管理等の研究・教育に当り、1987年戦史部長を最後に退官。その後岩手大学人文社会科学部教授(国際政治学)、南山大学、富士大学、アレン国際短大(副学長、学長)を経て、現在聖学院大学大学院客員教授(政策政治学科グローバル政策コース・平和学研究担当)をつとめつつ「国際政治軍事アナリスト」として活動中。1989年より岩手日報客員論説委員をつとめる。この間に、フルブライトおよびフォード研究員としてペンシルベニア大学外交政策研究所およびハーバード大学国際問題研究所にて、国際関係・戦略研究に従事。IISS(ロンドン国際政略研究所)客員研究員
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