出版社内容情報
「万里の長城無用論」を排する白熱の論考。
万里の長城をはさみ、果てしない攻防をくりひろげてきた漢民族と遊牧騎馬民族。その戦いの実相に迫り、中国史の新視点を示す。
「万里の長城は何のために必要だったのか?」。この問題を検証するにあたっては、欠くことのできない要素が2つある。それは、「馬」と「黄河」である。古来より、中国大陸では、中原を支配する王朝と、北方から侵攻してくる異民族の熾烈な抗争が繰り返されてきた。この、北方民族は、「馬」に乗って攻めてくる。また、その侵攻の時期は、「黄河が氷結する」時である。本書では、さまざまな時代の資料から、この2つの条件を詳細に検討し、長城の建設が、その時代の王朝にとってどれほどに大切なものであったかを説き明かす。これにより、王朝の威勢を示すためのデモンストレーションであったとするような、いわゆる「長城無用の長物論」などには、完全に止めがさされるであろう。中国史を考える上で、欠かすことが出来ないながらも、なぜか見落とされていた視点を明らかにした画期的な論考である。
●序章 馬と長城の攻防
●第1章 小さい馬だから世界を征服できた
●第2章 黄河はこう凍結して馬を渡らせた
●第3章 だから長城が必要だった
内容説明
「万里の長城は何のために必要だったのか?」この問題について、中国史においては、「無用の長物であったとする説」まで、さまざまな議論がたたかわされている。本書では、「馬をたくみに乗りこなす北方民族の侵攻」、「寒冷期における黄河の凍結」という斬新な視点から、歴代王朝がなぜ万里の長城を絶えず築き上げてきたのかを明らかにする。中国史の見方が変わる画期的論考。
目次
序章 馬と長城の攻防(南に移された長城;天高く馬肥ゆる秋 ほか)
第1章 小さい馬だから世界を征服できた(ヨーロッパとは対照的;草と水をもとめて ほか)
第2章 黄河はこう凍結して馬を渡らせた(大遠征の発端;馬を休ませることに留意 ほか)
第3章 だから長城が必要だった(孟姜女に代表される犠牲;司馬遷も工事を批判 ほか)
著者等紹介
西野広祥[ニシノヒロヨシ]
昭和10年、東京生まれ。東京都立大学中国文学科博士課程修了。慶応義塾大学教授を経て、現在、東北公益文科大学教授。昭和43年日本中央競馬会月刊『優駿』300号記念懸賞論文に一等当選。昭和59年より10年間日本中央競馬会運営審議委員
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
韓信