出版社内容情報
グレた末っ子の目で一生を描く涙の物語。
少女時代をイギリスに過し、戦後の混乱の中で四人の子供を育て上げた母の一生を、グレた末っ子の目を通して描く感動のドラマ。
カバー裏のコピーに、服役中の息子(著者)に面会した時の母の言葉が紹介されている。「ナオちゃん、貴方を最後に産まなかったら、こんな刑務所とか看守さんなんて、わたしには映画の世界のことだったわ」という一文である。こんな洒落たユーモア溢れる励ましの言葉をかける母親を持った息子は、置かれている境遇は別として、幸せ者に違いない
▼本書は、少女時代をロンドンに過ごした明治生まれの女性が、大正・昭和をいかに生き抜いたか、その姿を、母の一番の心配の種だった著者の目を通して描いた「女の一生」の物語である。
▼著者の作品には、自分の特異な体験を題材にした作品が多いが、本書ではそれが程よくセーブされ、男性優位の時代に生まれた女性が、どのように夫に尽くし戦争を見つめ、戦後の混乱期に子供を育てたかを、冷静に、時にユーモアをもって描いている。かつての日本にはこんな家族があったのだということを思い出させる伝記小説の佳作である。
●プロローグ 銀のシガレットケース
●第1章 結婚
●第2章 ロンドン
●第3章 脱出
●第4章 戦争
●第5章 親子の時間
●第6章 グレ果てた次男
●第7章 息子の結婚
●第8章 つかの間の喜び
●第9章 面会所
●第10章 隠居所にて
●第11章 安部正夫の死
●第12章 おだやかな日々
●エピローグ 秋は滲んで見えた
内容説明
「ナオちゃん、貴方を最後に産まなかったら、こんな刑務所とか看守さんなんて、わたしには映画の世界のことだったわ」。服役中の息子に朗らかに言った母・玉枝は、少女時代をロンドンに過ごし、戦後は混乱の中で4人の子供を育てた。夫が復員し、一家そろっての幸せも束の間、末息子の暴走が始まる…。明治・大正・昭和を生きた母の一生を、グレた息子が描く感動のドラマ。
著者等紹介
安部譲二[アベジョウジ]
1937(昭和12)年東京生まれ。麻布中学、慶応高校等に学び、保善高校定時制を卒業。博奕打ち、プロモーター、クラブ経営者、日本航空パーサー、競馬予想屋…、等々多彩な職業遍歴を経て、現在作家
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感想・レビュー
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