出版社内容情報
赤揃えの勇将の逆境克服の人生を描き上げる。 徳川四天王の一角として、赤揃えの鎧を着け、戦場を疾駆した勇将・井伊直政。その人生における逆境克服の精神を描き上げる長編小説。 父・直親が、主人の今川氏に謀反を企てたと濡れ衣を着せられ、井伊家は絶滅される破目に陥った。その時から直政には、追っ手から逃れ、隠れる、流浪の日々が始まった。それは長く辛い歳月であった。自己の存在を間違っても表には出せない日々は、彼に、“時を待つ”という心根を培った。 やがて直政は、偶然のチャンスをとらえ、徳川家康の臣下に加えられる。人生のどん底を味わって来た直政には、「家康によく仕えるための要諦」がはっきりと見えていた。それは、「自分は“譜代の臣”ではなく、あくまでも“余所者”だという意識に徹した方がよい」ということである。常に周囲から“余所者”として警戒されている方が、仕事をうまくやった場合でも、余計な嫉妬を買わずに済む。また、その態度が、他の“余所者”たちを引きつける、大いなる魅力ともなって行った。 逆境を逆手にとり、自らの立場を築いた、エネルギー溢れる男の姿を描く、書き下ろし歴史長編。 ●第1章 遠江の井伊谷 ●第2章 流転雌伏の歳月 ●第3章 信長と家康の同盟 ●第4章 長篠の銃撃戦 ●第5章 甲州武田氏の滅亡 ●第6章 井伊の赤揃え ●第7章 家康軍団の関東移封 ●第8章 天下わけ目の激突
内容説明
勇壮な赤備えで戦場を疾駆し、徳川四天王の一角として名を馳せた勇将・井伊直政。彼のその武勇の裏には、流浪の身という逆境から自力で這い上がって来たことへの自信が、深く刻みこまれていた。「流れ者」の境涯の中で培った、粘り強くかつ、人を魅きつける性格で、家康に愛され、滅亡した武田家の遺臣たちに慕われて、乱世を生き抜いた、エネルギー溢れる男の姿を描く長編小説。