出版社内容情報
征かねばならなかった人の心の叫び。遺された人の終わりなき鎮魂の旅。戦後50年を経てなお消えぬ想いを辿る、感涙のノンフィクション。
内容説明
「お母さん、その着物で僕の座布団を作ってくれませんか」最後の帰省の日に着ていた着物の片袖で、母親は座布団をこしらえた。その座布団を胸に抱き、若者は人間魚雷の搭乗席に乗りこんでいった。再び祖国を見る日のないことを知りながら―。征かねばならなかった人の心の叫び。そして、遺された人の終わりなき鎮魂の旅。戦後50年を経てなお消えぬ想いを辿る、感涙のノンフィクション10話。
目次
第1話 わけ亡くも、母よ微笑め―人間魚雷「回天」で特攻死した塚本太郎の遺したもの
第2話 軍袖の柿―真珠湾で散華した後藤元が想いつづけた故郷の山河
第3話 遅れてきた遺書―梅雨空の雲の切れ間に和田照次は知覧を発った
第4話 恋文―南洋群島から大陸の妻へ・北原百次郎の想い
第5話 軍夫の弔い―植民地下の台湾で生まれ徴用先で客死した客家の遺恨
第6話 シベリアの菊―厳寒の地に十年間収容された赤羽文子の運命
第7話 歳月―シベリア抑留の夫を待ちつづけた山本モジミの生涯
第8話 終わりなき旅―ニューギニアの山中で戦病死した宮川文二郎の娘たち
第9話 大和の墓標―最愛の妻に生還を誓った小笠原嘉明は艦を離れず
第10話 約束―親友に妹を託し戦艦「大和」と共に散った臼淵磐
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いん瑚
1
国のために死ぬことが誇りであり名誉である。二十歳の身空でそう言いきることが出来ることへの衝撃。日本特有なのだろうか。大和魂、潔しよしの精神。驚異的で尊敬に値する。戦争を肯定することはできない。命を軽んじることはこの世でなしうる最大の冒涜のはずである。2013/06/30
Ayano
1
部隊で若くして命を落とした者がどれだけ居るのか、その遺族はもっと多い。戦士の凶報が来るまで復員を待ち続け…どの章も涙が自然と溢れてきてしまう。 海軍が中心になっている気はするけれど、マーシャルや陸戦地のことも生々しい。戦艦大和の菊の御紋を見つけた海の墓標委員会の話もあり、本当に興味深い本だった。 戦地に赴き、死を余儀なくされた軍人とその家族の所管など本当に心打たれる章ばかりだった。戦後50年以上が経つが、遺族にとっては何年・何十年・何百年経とうとも「戦後」なんてないのだと思う。2009/06/05
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