出版社内容情報
天下人となった秀吉であったが、ついに世は徳川の天下へと移っていく。修羅の中で常にたくましさを持ち続けたおねねの後半生を描く。
内容説明
天下人となった秀吉であったが、既に以前とは別人のようになってしまった夫の姿に、妻おねねは深い孤独を感じるのだった。そしていつしか戦乱の世は、徳川の天下へと移っていく。豊臣と徳川の対立に心痛め、奔走するおねね。しかし栄華を誇った豊臣家もついに最後の日を迎えるのだった…。修羅のなかで、常に冷静な意識を持ち続け、たくましく生き抜いたおねねの生涯。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hrmt
36
ねねは秀吉亡き後権力の中枢から退いたが、関ヶ原をねねと茶々の戦いではなかったかという解釈は面白い。子が無かったからこそ時に懊悩し、時に諦めて、時代の流れに従容として生きることができたのかもしれない。逆に世の流れに逆らった茶々の心情は、本当に権勢欲だけだったのだろうか?頼れる身内も無い中で、方向性を間違えたとしても、ただ息子を愛して盲目的に護ろうとした愚かな母というだけだったのではないか?ねねの世を見る目は、茶々よりも余程政治家的で男性的だったからこそ、高台院として76歳まで生き延びたのかもしれない。2020/02/11
金吾
25
秀吉死後の争乱も女の戦いの視点で書いています。感情的に考えるならば本書で記載されているねねの態度は理解できると感じました。2023/01/16
秋乃みかく
3
★★★★☆ 最後までサクサク読めて面白かった。秀吉の女グセ、茶々との確執などいろいろ悩みもあったけど、王者の妻になっても庶民的で賢明であったおねねはやっぱり好きな歴史上の女性の一人だな~。あとこの本を読んでよかったと思うのはおねねの血縁関係が頭の中でやっと整理できたこと(笑)特に口下手な浅野長政好きになりました(^^)2018/03/21
安芸あずき
3
とても面白くてあっという間に読み終えてしまったのだが、府と思った。淀君や石田三成を(主人公はねねだし)けっこう悪し様に書いてあったのだが、果たしてこの世に淀君を正当化した小説はあるのか。今まで私が読んだものは、淀君は気位の高さでだいたい否定的に描かれているのだが…。それと、史料が少ないから仕方無いけど、ぜひ誰か石田三成の正室「うた(皎月院)」から見た石田三成と関ヶ原について書いてください…!もしあるなら誰か私に紹介して!頼むから!2014/05/14
まきまき
2
草履取りの時代から秀吉を支え、その栄華をともにしながらも実子はなく、老蒙の秀吉を見送ったのち、関ヶ原も大阪城落城も見届け、長く盛衰に富んだ人生の幕を閉じた女性、おねね。その生涯に寄り添い、しみじみとした余韻を残す作品。成り上がった途端に下劣なまでの本性を呈する秀吉と、控えめで庶民感覚を失わなかったおねね。北野の大茶会(老若男女誰でもオープン)と、吉野の花見(貴族だけの閉鎖空間)の違いはなるほどと思いました。秀吉も非凡な人材だったけど、朝鮮出兵なんかは確かに老人の誇大妄想かなあ・・・って感じだよね。2017/09/09