出版社内容情報
成功体験への埋没、機能体の共同体化、環境への過剰適応日本的組織を蝕む「死に至る病」を検証する。著者20年の研究成果の集大成。
内容説明
業績低迷する企業。硬直した官僚機構。戦後の未曾有の繁栄をもたらした日本的組織を、今、何が蝕んでいるのか。本書では豊臣家、帝国陸海軍等の巨大組織のケース・スタディーから、「成功体験への埋没」「機能体の共同体化」「環境への過剰適応」という、三つの「死に至る病」を検証。時代の大転換期を生き抜く、新しい組織のあり方を提唱する。著者二十年の組織論研究を集大成した現代の名著。
目次
第1章 巨大組織の生成から崩壊まで
第2章 組織とは何か
第3章 組織管理の機能と適材
第4章 組織の「死に至る病」
第5章 社会が変わる、組織が変わる
第6章 これからの組織
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kiyoshi Utsugi
36
豊臣家の事例から成功体験による失敗、帝国海軍の事例から共同体化で滅亡した失敗、日本の石炭産業の事例から環境への過剰適応による失敗を検証して、その後、新しい時代を生き抜くための組織とするには、どういったところに留意すべきなのかを5つ提示しています。 その5つとは以下であるとのことでした。 ・三比主義からの脱却 ・「価格-利益=コスト」という発想をもつ ・利益質の提言 ・ヒューマンウェア(対人技術)の確立 ・経営の理念2022/02/17
糜竺(びじく)
16
この本は、今までの歴史の成功例、失敗例を紐解きながら、それが現代においてその過去の教訓から、何を学べるか、どう実際に適用出来るかが具体的に書かれています。それにしても作者の歴史の分析力は素晴らしい。そうか!なるほど!っと気付かされる点が多々ありました。難しくて取っ付きにくそうに見えますが、内容は全然読みやすく分かりやすかったです。2012/06/28
Porco
15
1993年に出た本を1996年に文庫化したものですが、今でも古びていないと感じました。バブル崩壊後は、それまでの拡大路線からコスト削減へと舵を切らなければならないという話も、実際そうなったんじゃないでしょうか(そうした企業は生き残って、ただ、デフレになったけど)。コスト削減だけじゃなくて、他のこともやるべきところが、できていなかったということも、本書からわかるかも。2024/02/12
中年サラリーマン
15
1996年初版でこの内容かぁ。すげえな堺屋太一と思ってしまう本。今でも十分通じる内容。最後の方の情報伝達技術の革命によって今までの組織形態がたちゆかなくなりあらたな形態が生まれるかもって話が面白かった。2014/03/11
とみやん📖
14
非常に面白かった。歴史的事実の捉え方には一部疑問を感じる点もあるが、主張は明確で分かりやすい。日本史に限らず様々な事例を基に、組織論を紐解く。著者が言うとおり、組織は人間が織り成す泥臭い営みゆえ、必ずしも組織図のとおり機能しておらず、歴史的考証の難しさがある点は納得。共同体と機能体の違いは分かりやすい。その流れで信長、秀吉、家康の組織の比較が面白い。特に、劉邦の組織運営の部分が秀逸。産業革命で生産手段と労働力が分かれたのに今日また属人化の流れになっている指摘は奥深い。付箋だらけになったので再読したい。2020/01/14