内容説明
戦後五十年、人類はなお地球を何十回も破壊できる核兵器を抱えている。癒えることない傷を再び歴史に刻まないために、戦争において人間はいかに非人間的になれるのか、我々はもう一度自らに問い直すべきではないか。―米・独・日の開発競争から、刻々と追いつめられる日本の戦況、原子爆弾の完成と投下決定、そして「その日」までを、多くの取材と資料から再現する迫真のドキュメント。
目次
第1部 競争(出発;前進;展開;目標)
第2部 混乱(寒さと空腹;天皇と重臣;B29と焦土;大統領と分離筒;戦闘力と精神力;多数派と少数派;モスクワとポツダム;広島とエノラ・ゲイ)
第3部 その日(午前八時;閃光と暗黒;爆心地;若い犠牲者;地獄絵;広島の軍隊;生と死のあいだ;夜の底で;屍の町;「これは原爆です」)
エピローグ(死者の列)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
井上裕紀男
16
日本の原爆開発についても経緯が記述されており、時系列を確認しづらいけれども各国の戦争遂行過程を追える所が有難い。 1943年に日本への原爆使用は決まっていたにしても、米のOP-16-W(特殊戦争課)の日本降伏作戦やラルフ・バード海軍次官の原爆投下予告嘆願が認められていたら爆弾投下は避けられたのかと思うと、1945年6月22日の天皇主催最高戦争指導会議でも戦争終結に至らない日本の体制を恨む。 投下後、広島第二総軍、中国軍管区共に壊滅して残った兵士は街を脱出。最後まで日本は民を守ることができなかった2021/08/15
豆まゆ
3
15年前くらいに読んで本棚にしまってあった本。日本でいちばん長い日を書いた半藤さんが書いていたことに気がつき、再読。日本の平和を考える上で、単純に、知っておいた方がいい出来事の一つだと思う。それでも記憶がぼんやりしちゃうから、定期的に読み返したい本の一つ。2017/01/15
ユカイ
1
大学電子図書館で読んだ。日本の一番長い日の著者の本。後半半分の被爆体験はとんでもなく悲惨なものだし、前半のあの日に至るまでの物語も著者の語りでどこが本当かわからなくなる面もあったが、史料を積み重ねており、重厚の一言。2020/09/27
くらぴい
0
鈴木貫太郎内閣発足の頃の話や、アメリカの原爆製造の話、日本も製造に着手したが中途挫折だった点、原爆投下の前後 数日間の詳細な物語。