出版社内容情報
この世に悩みの種をまいて生きる現代人。救いのない暗闇にいるからこそ、ありがたく思える「般若波羅密多」。著者自身の体験を経に映し、よむ、生身の般若心経論。
内容説明
人間はなぜ瑣事に悩み、色に惑うのか。悩み惑い続けながら、なぜ「生」に執着し「色」に執着するのか。自ら煩悩の熱い炎に焼かれ身悶えしながら、なお人間の真実に迫ろうとする水上勉が、一筋の光明を求め、「心経」を一休和尚に問い、正眼国師に質す。その苦悩の果ての悟りとは―。一千数百年にわたって読みつがれ、唱え続けられて来た日本人の心の原点「般若心経」が最高の語り手を得て現代に甦る。
目次
序章 「まかはんにゃはらみたしんぎょう」
第1章 漢字「般若心経」にめぐりあう
第2章 正眼国師の『心経抄』と私
第3章 一切は「空」である
第4章 私版「色即是空」の世界
第5章 一休における「色即是空」の世界
第6章 死して百日紅や椿の花となる
第7章 不浄を美しいと思うときもある
第8章 六根・六塵の本体は無である
第9章 無明とは何か
第10章 四苦八苦を成敗するには
第11章 のたうちまわって生きるしかない
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
涼
2
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2005/02/post_16.html2017/06/06
harhy
0
「空」の説明はいいね。体の不自由な娘さんを抱え、いろいろ悩んだんだろうなあ。2012/01/14
あむけ
0
「摩訶般若波羅蜜多心経・・」と始まる274字、葬祭等で目にすることはあってもその意味はわからないですんでいる。多くの訳本があるなかで水上勉氏は、お寺で経をよんでいた経験など折り交えてわれわれ庶民にわかりやすく説明している。この世の一切がすべて「空」であると認識するにはまだまだ人生修行が足らないけれど、言わんとする意味を少し理解できる年代になったか。2011/09/07