内容説明
真に美しい人とは、死にざまの美しい人である。その人の容姿の美醜がどうであれ、また、生き方の器用、不器用がどうであれ、最も大切なことは、その人がいかに私心を捨て、虚飾なく自分の人生を全うしたかにある。これを著者は死にざまという。本書は、吉野秀雄、高村光太郎、芥川龍之介などいずれも人生を創造的に生きぬいた人々の死にざまを取り上げることによって、逆に「生きるとは何か」に鋭く迫った迫真の人生美学である。
目次
生きることのかなしみ
鎮魂の歌―歌人吉野秀雄の生きざま
不惜身命の人―清水寺の大西良慶和上
空というこの人生―詩人大木惇夫と念仏者山本空外先生
ニューギニア慰霊行
死にざま、生きざま―岸本博士の死と榎本老人の生
幽遠の詩僧中川宋淵老師
大慧という人の手紙
水の呼びかけ
火星が出ている
川は語りかける
ジェットストリーム
龍之介の愛したひと
やみがたくして道はゆく―晩年の高村光太郎
美しく耐えた人―キリスト教の詩人八木重吉
花咲く浄土は見えずとも―詩人宮沢章二