出版社内容情報
『沈黙』、『死海のほとり』の一方で、「孤狸庵シリーズ」のようなエッセイで愛された作家の信仰と文学の日々を、友人の作家が語る。
内容説明
雨の日に花壇に水をまいた「おバカさん」はいかにして国民的作家となったのか。両親の離婚、戦時体制下の信仰の試練、フランス文学との出会い…デビュー以来親しくした著者が、長年の交流をもとに綴る心の遍歴。
目次
序章 芸術家にとって才能とは何か
第1章 大連時代の家族の風景
第2章 両親の離婚
第3章 ぐうたらな少年が洗礼を受けた理由
第4章 父と母、そして浪人生活
第5章 人生の戦友としての兄
第6章 堅信、または逆説の信仰
第7章 文学を志す
第8章 若きフランス文学者
第9章 フランス留学
第10章 フランス文学者から作家へ
第11章 狐狸庵の誕生―もっとも優れた、もっともダメな信者
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッツ
3
親友の三浦が、結核手術を乗り越え狐狸庵山人以降大ブレイクする前の遠藤について、独断と偏見の評論だが、セザンヌ的ゾロ的と分析している所から始まり、かといってさしてお堅くもなく裏話もあったりして、とても面白いし興味深かった。遠藤周作の遠藤周作たる所以が一挙にわかる。出来るものなら、狐狸庵誕生以後の遠藤についても、三浦視点から書いてもらいたいものだ。2011/08/07
SURI
2
遠藤周作がどんな人か知らなかったので読みました。キリスト教徒としてどんな葛藤があったかが興味深かったです。遠藤周作の作品を読んでみようと思いますね。2016/07/27
みむら しんじ
2
読書会の課題図書に遠藤周作が出た。高校、大学時代に遠藤周作の本は片っ端から読んだが、その頃は本だけを追いかけていて遠藤周作という人間のバックボーンなど理解しようとも思わなかった。今回はいま一度彼の原点に少しでも触れてみようと思い、手に取った次第。特に遠藤がカトリックになぜ傾倒し、なぜカトリック信者であることのアイデンティティーを深く模索していったのか。そしてなぜ狐狸庵閑話を書かざるを得なかったのか。母親に愛され、父への反感のためにカトリック信仰の道に入り、劣等感の塊。親友・三浦朱門の語りが厳しく温かい。2015/09/03
シャーリー
2
遠藤周作さんの人柄が多彩なエピソードで綴られていて、数々の遠藤作品にひめられた思いがやっと理解できたような気がします。2015/02/21
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