PHP新書<br> 「市民」とは誰か―戦後民主主義を問いなおす

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「市民」とは誰か―戦後民主主義を問いなおす

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  • サイズ 新書判/ページ数 201p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784569556956
  • NDC分類 311.7
  • Cコード C0230

出版社内容情報

  官僚・政治家vs正義の担い手・市民戦後民主主義が神聖化したあまりにも単純かつ現実を歪めた構図の問い直しに挑む、力作書き下ろし。    

内容説明

「市民」のためと銘打つ政党が結成され、また、外国人ジャーナリストによる官僚社会批判が「市民運動」のテキストとしてベストセラーとなる現代日本。そこで描かれるのは、権力を我がものとする官僚VS.「市民」が主役の民主主義、という構図である。「市民」が、単なる「都市の住民」であることを超えて、神聖な存在に祭り上げられた思想的背景とは何だったのだろうか?戦後日本の思想の歪みを鋭く衝いた意欲作。

目次

第1章 二十一世紀は「市民の時代」か
第2章 戦後日本の「偏向」と「市民論」
第3章 「近代市民革命」とは何だったのか
第4章 ポリスの市民、都市の市民
第5章 「祖国のために死ぬ」ということ
第6章 日本人であることのディレンマ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

94
「市民」という立場についての佐伯さんの考え方を歴史的な観点とまた海外の考え方の違いを照らし合わせて書かれたものだと思います。私などは非常に納得のいく論点で書かれています。佐伯さんの考え方あるいは論点の持って生き方は右からも左からもある意味で非難されるケースが多いのかもしれません。私はこのような中道的な生き方は日本人には難しいと思うのですが(すぐマスコミに左右される傾向がある)、そこを自分でよく考えて意見を持っていくことが重要かと思います。2016/01/30

白義

15
日本的に特殊な形で受け取られた「市民」概念の抽象性を批判し、西洋史に受け継がれてきた、矜持と士風を核にする市民の姿を紹介している。保守派のはずなのに結果的に西洋中心主義的になるのは長くこの著者の欠点になるが、それを別にしても本書で紹介される西洋社会史と思想史の該博な知識は見物。フランス革命は行政権力の集中、イギリス革命は上流層同士の政争で市民革命と言えるものではなく、歴史、思想両面から「市民」とは共同体の一員として強い責任意識を要求されてきたことを鮮やかに紹介している2013/07/15

ヴェルナーの日記

14
著者は「市民」という語をキーワードにし、それに基づく民主主義が、欧米と比べ、日本の民主主義(市民意識)が異質なものであり、それを是正するには「士道(武士道)」こそが大切と力説している。しかし、そもそも民主主義という概念(市民意識)は、一様ではなく、時代や土地よって様々な形を持っている。イギリス、アメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、スペインなど等、総て姿形(各都市ごと)が違う。よって日本市民(日本の民主主義)が異質という前提自体が成立しない。各都市における市民意識の歴史的形成を見直し、思考すべきであろう。2013/11/27

うえ

6
本書は「イギリス革命の全般的な見直しを行った…新しい歴史学などといわれたりするケンブリッジ」学派にやや依拠している。「ラスレットは『われら失いし世界』と題する書物の中で、そもそも17世紀のイギリスには階級などというものはなかった、したがって当然イギリス革命などなかった、というきわめて大胆な説を唱えた」「ポーコックは大著『マキアヴェリアンモーメント』において…古代的な美徳がいかにしてルネッサンスのフィレンツェに再生し、それがどのゃうに変形されイングランドへ移植され保持されたかを描きだした」2015/04/08

politics

5
「市民」なる用語への違和感から、日本における市民論と西欧における市民論とは如何なる違いがあるのかを追求した一冊。特に西欧では「シヴィック」と「シヴィル」の二つの市民概念があり、それが重層的になっているとの指摘は興味深かった。恐らく西欧とは違った意味での「市民」意識を、日本の歴史の中から如何に取り出して創り出すのかといったことになるとは思われるが、相当な難題だろう。出版からかなり経過したものの、今なお日本における「市民」問題は解決されておらず、本書の問いは価値があるだろう。2022/09/16

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