出版社内容情報
「真の英語力を身につける」とは、どういうことか。英文法を徹底的に分析し、語学を確実に習得していった著者による体験的「文法論」。
内容説明
「真の英語力を身につける」とは、どういうことか。批判多き日本の「文法重視型」英語教育は、本当に「無益」なものなのか。英文法を徹底的に分析することによって、確実に語学を習得していったという著者。本書では、文法少年だった頃から「英文法ノイローゼ」にかかった苦学生時代、ドイツ留学時代などを振り返りながら、自身の英文法体験や、英語に関する四方山話を披露する。英文法研究とともに歩んできた著者による「知の自叙伝」。
目次
第1章 英文法が語る世界史(英文法を正しく解釈する;英語史の流れを理解する)
第2章 文法学の魅力的なる世界(「文法」が持つ不思議な魔力;誤読が生んだ大いなる悲劇)
第3章 英語の基本―「読み書き」能力(「日本式」文法教育の真価;“渡部流”語学習得法)
第4章 伝統文法の成り立ちと今日性(イギリス英文法はいかにして作られたか;「書く英語」を支える伝統文法)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tak
3
英文法がどのように成立したか、なぜ英文法が重要なのか、等々。日本の英文法教育に焦点を当てた中盤では、未知の文献を正確に読み解き理解するという点において、これまでの日本の英文法教育が非常に優れたものであったことがわかる。ヨーロッパにおける歴史の流れとそれに伴う言語の変遷についても簡単に触れられているが、これは面白かった。もっと深掘りしてみたい。2020/06/14
日向夏(泉)
2
KindleUnlimitedで。「同姓同名の別人」と思って、面白く読み進めていたが、「これは、あの保守の渡部昇一氏だよな…?」と改めて確認したら、そうであった。普段の言動があまりにトンデモなので、ここに書かれている英語が学問的にも根拠に基づいたものなのか不安になる。英語に関しては全く真っ当なのかも知れない。しかし、そうなのか否かを自分は判断できる能力がない。疑わしさが渦巻き始めると頭に入らなくなった。「誰が言ったかではなく、何を言われたかに注目せよ」と言われるが凡人には無理だ…2017/03/30
Yu
2
知的好奇心を駆り立てる一冊
脳疣沼
0
昔、日本人は外国語である漢文を、そのまま受容するのではなく、書き下し文にして、分解して取り入れた。それは英語教育にも反映されていて、従来の英語教育は英文を文法をこねくり回して厳密に「読む」ことに特化したものになっている。これでは英語を話すことは出来ないし、現にその教育法が批判されて、会話重視に移ってきた。しかし、原文を日本語に移し替える時の葛藤が、海外の知識を受容する上で大切だったのではないか。日本人は入ってきた海外のものを自分流に改造してしまうと言われるが、そのからくりはここにあるのではないか。2014/04/09
otogination
0
ドイツ語と比較した英語史の部分は面白かった。 著者の世代や時代を考慮すれば仕方ないが、日本の英文法教育を賞賛しつつも、スピーキング力が低いことを問題視していないのは理解できない。文法とスピーキングを二項対立的に考えるのではなく、両方とも高める方法を考えるのがいまの日本の英語教育に求められていると思える。 ところどころ顔を出す著者の愛国的な側面は病的だと思う。どれほどのルサンチマンを抱えていればこうなってしまうのか。2023/02/04