出版社内容情報
「経済学とは社会哲学である」を信条としてきた飯田経済学の集大成。「飽食」の時代にふさわしい「足るを知る経済学」のあり方とは何かを問う。
内容説明
“もういいや”の言葉に象徴される無力感と相次ぐ金融不祥事に象徴される「規律」の喪失。物質的「豊かさ」を実現し、ほんとうに買いたいものがなくなったとき、私たち日本人は、これまでどおり「よき社会」を維持していくことができるのだろうか。日本的経営の再評価、悪しきアメリカニズムとの訣別を柱に、「飽食」の時代にふさわしい「足るを知る経済学」のあり方を問う。「経済学とは社会哲学である」を信条としてきた、飯田経済学の集大成。
目次
第1章 「豊かさ」は終わったか
第2章 「豊かさ」のなかの不況
第3章 ケインズ経済の落とし穴
第4章 バブルはなぜ起こったか
第5章 アメリカ支配からの脱却
第6章 「飽食のハードル」への挑戦
第7章 真の「豊かさ」とは何か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うりぼう
4
「足るを知る経済学」、「経済学とは社会哲学である」という。先生にしてみたら、金融工学なんて、許せんね。2001年ベスト7位2001/07/08
茶幸才斎
0
今日の格差社会の到来前の著作。久々に大学で講義したら学生の私語がひどく、「規制緩和」よりも「規律」を何とかしろ、と料簡の狭い話で始まる。同様に(?)規律と節度を欠く米国は、自国の赤字解消のために日本に内需拡大を強要し、これに屈する形で日本はバブルに突入したし、規制緩和も同じ構図だ。ゼロ成長の時代にあって、規律ある「よき社会」を実現するには、米国とは一定の距離を置き、日本的経営を再評価しよう、と云っている。哀しいかな、敗戦→講和→日米安保の重いくびきは、今日なお両国間のあらゆる場面に色濃く影を落としている。2012/07/27